「ジェンダード・イノベーション」を知っていますか?

お茶の水女子大が研究所

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研究、教育、社会貢献でジェンダーの視点を強化するお茶の水女子大の本館

お茶の水女子大学は男女の性差に注目して研究開発に取り組む「ジェンダード・イノベーション研究所」を4月に設立する。性別により医薬品の効き方や工業製品の使い勝手が異なるという、新たな切り口でイノベーション創出を目指す。工学系新学部や、女性の健康問題を解決する「フェムテック」の起業家育成など教育とも連動し、文理融合で取り組む。女子大学ならではの産学連携、外部資金獲得につながる点も注目されそうだ。

科学技術における性差は医学・医療で大きい。心疾患や血管狭窄(きょうさく)で男女の発症の場所や形態が違う、女性の方が男性より睡眠導入剤の効きが長い、骨粗しょう症の通常の診断法では男性患者を見逃してしまうなどだ。

工学ではシートベルトの開発者が男性ばかりで、妊婦や乳がん手術後患者のユーザー視点が欠けるという例が知られる。また人工知能(AI)が社会のジェンダー・バイアスを強調することも近年、問題になっている。

お茶の水女子大の新研究所の中心は生物、工学、建築、心理、食物栄養などの専門分野の教員約10人で、約8割が女性だ。性差に注目した従来と異なる研究を手がけ、企業や起業家などと連携しイノベーションにつなげる。

同大は社会科学系で歴史ある「ジェンダー研究所」や、女性リーダー育成の「グローバルリーダーシップ研究所」を持つ。新研究所は同じ建物内に置いて相乗効果を出す。

教育では2024年度新設予定の「共創工学部」で、情報・工学系女性の育成を本格化。他大学との起業家教育プログラムや、産学連携の実績を発展させ、ジェンダー視点の研究・教育・社会貢献を強化する。

COMMENT

山本佳世子
編集局科学技術部
論説委員兼編集委員

数年前に性差研究という考えを知った時、驚いたのは「実験動物も、生理周期がなく安定した(同一性の高い)オスだけを使っている」ということだった。「なるほど生物としての雌は、複雑で面倒だということで切り捨てられてきたのか…」と 寂しい気持ちになった。しかし今は違う。同じ研究開発でも、性差で捉えると従来とまったく違うものが導ける可能性があるというのは、社会応用としても学術研究としても、ワクワクすることではないだろうか。

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