リニア、「最難関工事」きょう着工

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山梨リニア実験線で走行試験を繰り返すリニアモーターカー
 JR東海は18日、2027年開業を目指すリニア中央新幹線の建設で”最難関“とされる「南アルプストンネル」(全長25キロメートル)の工事に着手する。18日に同トンネルの山梨県側の工区で起工式を開き、資材置き場などの施工を始める。リニアは14年12月の着工から1年が経過。大阪延伸まで含め9兆円の建設費を自己負担するJR東海の壮大なインフラ計画は、その実現に向けた最も重要な建設段階に入る。

事業説明会は250回以上


 「スピーディーではないが、着実に進んでいる」。JR東海の柘植康英社長は9日の記者会見でリニア計画の進捗(ちょく)をこう表現した。着工から1年。沿線各地で開いてきた事業説明会は250回以上に上る。

 8月には南アルプストンネル山梨工区(約7・7キロメートル)の工事契約を締結。9月から10月にかけては品川駅の北工区、南工区でも工事契約を結んだ。もっとも当初は5月にも最初の工事契約を結ぶとみられていた。大規模かつ長期に及ぶ工事なだけに、ゼネコンなどとの交渉が難航したもようだ。

 南アルプストンネルの着工で、リニアは本格的な建設工事の段階へと移る。山梨工区は工期が25年10月まで10年に及ぶ長丁場。JR東海と工事契約を結んだ大成建設、佐藤工業、銭高組の共同事業体(JV)はまず、トンネルを掘るための「斜坑」と呼ぶ坑道の掘削を16年3月に開始。その後、16年秋をめどにトンネル自体の掘削を始める計画だ。発破を用いた一般的な「NATM(ナトム)」と呼ばれる工法でトンネルを掘削する。

 残る長野工区(8・4キロメートル)は現在、施工業者による見積もりの作成期間中で、16年1月15日に締め切る。静岡工区(8・9キロメートル)もそれに続き、16年中にも契約を締結する見通しだ。

残土処理など課題も


 リニアは品川―名古屋間の総延長286キロメートルのうち86%がトンネル。中でも今回着工する南アルプストンネルは、地表からトンネルまでの深さを示す「土被り」が最大1400メートルと深い。また一部は断層帯を通り、地圧や湧水といった工事遅延につながりかねない要因も多く予想される難工事だ。品川―名古屋間の工事で生まれる残土は、汚泥なども含め約6380立方メートル(東京ドーム約51杯分)と予測され、その処理も大きな課題として横たわる。

 沿線各地ではリニアの27年開業を視野に駅周辺などの再開発計画が立ち上がっている。日本全体を巻き込むプロジェクトになるが、12年後の開業まで、決して工期に余裕があるわけではない。「当社の使命は東京―名古屋―大阪の大動脈輸送を維持、発展させること」(柘植社長)。その使命を全うできるか否か、リニア計画の行く末を左右する重要な段階に入った。

(文=名古屋・杉本要)

日刊工業新聞2015年12月18日建設・エネルギー・生活面

COMMENT

品川駅などの工事は始まっていましたが、いよいよ正念場のトンネル工事がきょう着工となります。南アルプスを貫く世紀の大工事は発破(=ダイナマイト)を使った、ごく一般的な工法で進められます。

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