産業用ロボット向けAIベンチャーにペイパル・ヤフー・ナップスター創業者が出資

「深層強化学習」ソフト開発の米オサロ、あのサードポイント代表も注目

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(Osaroのサイトから)
 おもに産業用ロボット向けに、「深層強化学習」といわれる先進的な機械学習ソフトウエアを開発する人工知能(AI)関連スタートアップの米オサロ(Osaro)が、330万ドルのシード資金を獲得した。出資者には、『ゼロ・トゥ・ワン』の著者でもあり、今やシリコンバレーでもっとも注目される投資家のピーター・ティール氏ら錚々たる面々が名を連ね、期待の高さをうかがわせる。

 オサロが開発するのは、大量のセンサーによる知覚機能と意思決定機能とを融合し、コンピューターやロボットが試行錯誤しながら、複雑な作業を自ら効率的に学習するAIソフト。特許も出願中だ。最終的には技能レベルの高くない作業者でも、ロボットをセットして訓練させられるAIを目指すという。

 デリック・プリドモア社長兼COOへのTechCrunchのインタビューによれば、産業用ロボットに狙いを定めたのは、「知能がなく、フレキシブルでもないため」。最近のトレンドとしてロボットによる製品製造までの立ち上げ期間が短くなっている。同社の技術を使えば、ロボットをつかんで何度か訓練することで自分でトレーニングを開始。あとは「成功」「失敗」という結果の評価を人間が点数で教えればよく、現場に導入するまでの手間を効率化できるという。現在、複数の会社とパイロットプロジェクトにとりかかっているとし、パソコンのOSのように、開発したソフトをライセンスする形でのビジネス展開を狙う。

 同社は2015年にサンフランシスコに設立され、社員わずか9人。創業メンバーのイタマー・アレルCEOはテネシー大学の教授で、同大マシンインテリジェント研究所の所長も務める。一方のプリドモア社長はベンチャーキャピタリスト。オサロの出資者でもあるピーター・ティール氏率いるファウンダーズファンドに勤務したこともあり、同ファンド時代は、のちにグーグルが買収したAIスタートアップの英ディープマインドへの投資も手がけた。さらにニューヨークに拠点を置く深層学習スタートアップ、クラリファイ(Clarifai)にも投資している。

 オサロに対する新たな出資者は以下の通り。
-ジェリー・ヤン:米ヤフー共同創業者
-ピーター・ティール:イーロン・マスクらとペイパルを創業した起業家・投資家
-ショーン・パーカー:ファイルシェアリングサービス「ナップスター」を共同創業、フェイスブックの初代社長
-スコット・バニスター:ペイパル取締役で、ウーバーへの初期投資家
-アダム・ワイスマン:グーグルに買収されたアドセンスの共同創業者
-ダニエル・ローブ:物言う株主(アクティビストファンド)の投資ファンド、サードポイント代表。ソニーやスズキ、ファナック、セブン&アイHDといった日本企業に対し、株主の立場から事業改革や配当引き上げを要求したことでも知られる

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COMMENT

藤元正
モノづくり日本会議実行委員会
委員長

国内でもっとも注目されるAIベンチャーの一つが、今回トヨタからの大型出資が決まったプリファード・ネットワークス(PFN)。ファナックやパナソニックとも提携している。機械学習やディープラーニングなどでは全般的に欧米勢が先行しているが、PFN幹部は以前、「向こうはクラウドでの幅広い利用を想定している。それに対し、我々のソフトは機械や装置に組み込み、工場などの現場向けで強みを持つ」と違いを強調していた。とはいえ、オサロがまずAIの成長市場ととらえているのが「普通の人はあまり考えない」(プリドモア社長)という産業用ロボット分野。AIを切り口に、産業用ロボットでの米国企業の逆襲が始まるかどうか。

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