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国立大の新中期目標・計画、これまでとの違いはここだ

文部科学省は2022年度に始まる国立大学法人第4期中期目標・中期計画の素案を公表した。第4期の制度は21年度までの第3期と異なり、国による毎年度の評価を廃止する一方、重要業績評価指標(KPI)などの記載を義務付けている。目標・計画の平均項目数はそれぞれ半分以下になり、各法人の業務効率化と社会とのコミュニケーション向上が期待される。21年度末に最終決定となる。

文科省は今夏、素案公表に向けて中期目標期間の6年間で達成を期待する25項目を大綱として提示。これを受け、国立大82法人(複数大学を持つ法人を含む)が自らのミッションやビジョンに合致した10程度の項目を主体的に選び、具体的な活動計画を示した。例えば「社会との共創」では地域貢献、世界レベルの研究、産学連携の3項目いずれか複数の目標に沿った計画が出された。

独自に項目を作成した法人は全体の約3分の1。東京大学が3項目、筑波大学九州大学などは2項目で積極的な姿勢を見せた。文科省は第4期中期目標・中期計画の素案公表を機に、意欲的な目標を持ち評価指標が明確な優れた事例を取り上げ、各大学のさらなる検討・修正を促す。

日刊工業新聞2021年11月18日
山本佳世子
山本佳世子 Yamamoto Kayoko 編集局科学技術部 論説委員兼編集委員
今の文科省HP公表では、各大学の素案を一つずつ見るしかないが、どの大学が大綱のどの項目を選んだかがわかる一覧表が、12月にも出てくるという。両方を眺めれば「私たちの地元の大学はどんなプランを出していて、それは他の地方大学と比べてどんな違いがあるのか」が見えるだろう。第4期の中目・中計は項目数がぐっと減ったことから、学内教職員の負担減を喜ぶだけでなく、ステークホルダーとのコミュニケーションのための資料として活用してほしい。

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