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“標準化”のプラットフォーマーとして国際競争力強化に貢献

特許や商標などの知的財産は企業が大きく飛躍するための資産となっている。今後の国際競争を勝ち抜くには知財を生かした事業活動が必要だ。その中で、企業は自社のモノやサービスを標準化することで、それらを国内外に普及し市場の拡大を狙う。日本知財標準事務所(JIPS)は企業の標準化活動のコンサルタントを手がける。企業の標準化活動を支援し、国内企業の国際競争力の強化を後押しする。

技術を正当に評価

標準とは何か。例としてネジやコンセントなどの大きさ、交通標識、2次元コードなどが挙げられる。モノや事柄の単純化、試験・評価方法の統一により、製品・サービスの品質や性能の向上が期待される。

その標準を特定のメンバーの合意の下に、仕様書を作りその規格を普及する活動を標準化と言う。標準化を進めることで、一定の水準の製品やサービスを提供する事業者が増え市場が拡大する。さらに製品やサービスの中で標準化された領域では企業に差別化できる余地がないため、企業は標準化されていない領域だけに経営資源を注ぎ込み、独自性を追求できるというメリットがある。しかしこれは「護送船団方式」であって、個々の企業の強みを生かすビジネス戦略が反映されたものとはならない。

JIPSではビジネス戦略における標準化の活用など顧客企業のメリットとなるような標準化への取り組みをサポートする。具体的には国際標準のための書類を作成し、標準を提案するためのたたき台を作る。また顧客企業が所有するモノやサービスを標準化するべきかの検討も行う。

顧客である株式会社イノフィス(東京都新宿区)は、介護や農業で腰にかかる負担を減らすアシストスーツを開発・販売している。JIPSは製品の価格や質量、着脱時間、アシスト力など消費者目線で基準となる項目を作成した。各項目は測定可能で、こうした項目を示した標準を作ることで市場に製品を広めやすくなる。将来的には関係者での合意が得られれば国際標準化機構(ISO)への提言もありうる。JIPS知財標準化事業部の藤代尚武部長は「国際標準を取得すれば日本の技術が正当に評価される。日本の新技術を国内外で標準化できるようにしたい」と意気込む。

日本は周回遅れ

実は日本の標準化は世界から大きく出遅れている。すでに欧米の企業は1990年代から国際標準化の取り組みを進めており、日本は周回遅れの状況だ。

日本で標準化が進まない理由は多くある。日本ではネジの大きさなど製品の統一規格を標準と捉えている。規格を決め、製品を均一にすることで日本製品の大量生産の仕組みに大いに貢献した。だが同時に日本では標準を「平均」とイメージすることにつながった。「日本の標準では平均から大きく外れた製品の場合、たとえ平均より優れていても日本産業規格(JIS)に出せない」(藤代部長)。既製品を守るための既得権益が国際標準をつくる際の足かせとなっているのだ。

さらに標準化したいモノやサービスが今までにない全く新しい概念である場合、それを取り扱う工業会や学会が存在しないことも大きな課題だ。また分野を横断する技術であれば、関わる企業が多く、標準化活動の調整が難しくなる。もたもたしている間に、世界の競争から取り残され、「せっかく優れた技術を持っていても宝の持ち腐れとなる」(同)。こうした課題が日本の国際標準活動を大きく妨げていた。

さらに標準化が進まないのは日本人の思い込みにもある。日本では家電や自動車などの製造業主体で標準活動に取り組んでいる。これらの市場には大企業が多く参入し、標準をとりまとめて提案することが難しい。だが「多くのメーカーと多くのユーザーが市場にいる時にだけ標準が成り立つ」という考えは思い込みに過ぎない。実際にiPhone(アイフォーン)などの米アップルの製品は世界市場を席巻し、単独企業の製品で世界のユーザーを巻き込んで世界標準の地位を確立している。日本人の思い込みを取り除くことも必要になる。

競争領域として標準を議論

日本企業の国際標準化戦略で大切なのは、標準化を進めるためのプラットフォームの存在だ。日本の優れた技術と他の技術を差別化するための評価手法の確立など、非競争領域としてではなく競争領域としての標準を議論する場が必要になる。だが大手企業でも自社の標準化の推進や標準化のプラットフォームの形成は難しい。藤代部長は「技術を持っている人とプラットフォーマー(プラットフォーム提供者)との役割分担が必要になる」と強調する。JIPSはそのプラットフォームを提供し日本の国際標準化の取り組みを支援する。今後、企業のモノやサービスを国際機関に国際標準として提案する際、その支援人材を派遣する事業も視野に入れる。国際標準の取得を目指す企業の取り組みを支援し、日本企業の国際競争力強化に貢献したい考えだ。


日本知財標準事務所
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