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大学の国際化活動を世界に発信、新フォーラムのユニークさ

国内の各大学の国際化活動を連携して世界へ発信する「大学の国際化促進フォーラム」が発足した。文部科学省の「スーパーグローバル大学創成支援事業(SGU)」で採択された大学を中心に約100校が参加。各校の実績やノウハウを19プロジェクトで横展開する。2022年の初めにもパイロット事業を始める。目玉はオンライン国際教育の「JV―キャンパス」で、留学生を意識した日本語教育や日本のサブカルチャーなどの科目を用意。高等教育の世界的な競争力を強化する。

多数の大規模大学が参加する事業期間が10年間のSGUは、2021年度で8年目を迎えた。同事業が仕上げの段階に入ったことから、オールジャパンによるフォーラムで各大学が取り組むんでいる国際化活動の相乗効果を目指す。

文科省の「大学の世界展開力強化事業」の採択校と合わせた49校と他に約50校・機関が参加。代表幹事校は東北大学で、さらに参加校を増やす。留学生の獲得に向けたバーチャル大学ツアーや、ビジネス日本語教育など19プロジェクトを進めていく。

このうちオンライン国際教育のJV―キャンパスは、副代表幹事校の筑波大学がリーダーを務める。ユーザーとなる大学・企業へ各大学の科目をパッケージ化して提供する仕組みと、国内外の大学生・社会人・高校生が希望する大学の科目を学ぶ仕組みを、それぞれ整備する。

各大学の戦略に合わせ、有料・無料、履修証明や単位認定など多様な形を可能とする。共通のオンラインプラットフォームの利用や受講・課金のサポートもある。

日刊工業新聞2021年10月7日
山本佳世子
山本佳世子 Yamamoto Kayoko 編集局科学技術部 論説委員兼編集委員
SGUは国公私立大 にまたがる研究以外の大型事業とあって、「自校の国際化をアピールする絶好の機会」と、多くの総合大学が採択に血眼になり、高めの目標数字を掲げていたことを思い出す。それが新型コロナで、外国大学との行き来が途絶えたことを考えると、本事業の評価は他の文科省支援事業とは異なる難しさを抱えるかもしれない。そんな中で発足したフォーラムだが、新型コロナを機としたオンライン国際教育の推進という点でも、SGU採択校の蓄積を生かす点でも、採択校以外も巻き込んで世界的な留学生争奪戦を頑張ろうという点でも、ユニークで注目を集めるのではないか。

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