学生・教職員のコロナワクチン接種率87%。東北大が高水準を達成できた理由

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多くの学生がワクチン接種を受けた(東北大提供)

東北大学は10月の後期授業から通常活動に戻る。学生と教職員を合わせた1回目の新型コロナウイルスワクチン接種率が87%と高かったこともあって、オンライン活用や感染症対策を継続しつつ、講義や課外活動、会議、セミナーなどは「基本は対面可」に切り替えていく。同大の大学病院は他大学に先駆けて学内や一般市民向けにワクチン接種を開始。宮城県や仙台市と連携した医療や、独自開発したワクチン接種の予約システムなどが功を奏し、高い接種率を実現した。

東北大は前期授業の実験・実習でほぼ対面だったが、講義の対面は5割、演習は7割程度にとどまった。後期からは対面での授業を標準とする。

同大拠点での1回目の新型コロナワクチン接種率は2日時点で学生88%、教職員85%。両者を合わせると87%となった。また、12日時点で2回目の接種を済ませた人の割合は、このうちの97%に達した。体質的に接種が難しいケースを除いても、自治体などでの接種率と比べて高い水準だと言える。

大学関係者の接種が進んだ要因として、同大が学内・一般市民向けにいち早くワクチン接種を始めたことがある。また、他大学より早くデジタル変革(DX)に乗りだし、スムーズな予約が可能な独自ツールを開発したことも接種率の向上に貢献した。このほど宮城県が緊急事態宣言から「まん延防止等重点措置」へ移行したことを踏まえ、本来の学生生活の再開へかじを切る。

大野英男総長は「本学の地域医療への貢献や、速やかな情報共有が信頼感を醸成し、学生の接種率に反映されたのではないか。ウィズコロナ時代の大学のあり方を先駆けて提示したい」としている。

旧帝大の付属病院は先端医療に特化しているところが多い。対して同大は周辺に他の医学部が少なく、東日本大震災の経験もあって以前から、地域医療を支える中心的な存在となっている。連携する県や仙台市の評価も高い。

こうした経緯もあり同大病院は2020年4月、全国に先駆けてドライブスルー方式のPCR検査を開始。同時期に県の隔離ホテルでの簡易なX線・血液検査、医師の24時間対応も始めた。また、保健師では判断の難しいコロナ感染者のリスク別調整も同年10月から同大の医師が手がけている。

一連のコロナ対応がワクチンの高い接種率につながったほか、他県に比べ医療の負担を抑え、医療体制の維持につながったとみられている。

日刊工業新聞2021年9月20日

COMMENT

山本佳世子
編集局科学技術部
論説委員兼編集委員

東北大は早期に指定国立大学になった全国トップクラスの大学だ。一方で長年、東北地域全体を率いるリーダーでもあり、各県の名士とされる通常の地方国立大学や他の地方の旧帝大を越えた”スーパー地方大学”でもある。これに東日本大震災の経験が加わって、強い個性をつくっている。同大関係者のワクチン接種率の高さは、その結果としての一つの現象なのだろう。さらに多様なテーマで、同大の個性を発揮していってほしい。

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