卒業までに1000万円給付、奨学金にみるテンプル大学ジャパンの特殊さ

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米テンプル大学の日本校であるテンプル大学ジャパンキャンパス(TUJ)は、ゴールドマン・サックス証券の持田昌典社長が個人寄付した450万ドル(約5億円)を基に、奨学金を創設したと発表した。国公立高校卒業見込みでTUJ進学希望者のうち毎年若干名を選び、在学中の学費・諸費用全額として1人当たり約700万―1000万円を給付する。経済環境が十分でない若者の海外大学への進学を後押しする。

奨学金の名称は「持田・ストロナク全額奨学金」。最大5年間の学費・諸費用全額を給付するほか、希望により米国本校への1―2学期の留学などを含む。日本国籍を持ち、学業成績と英語能力で出願資格を満たす学生の中から選考する。持田社長と約40年の交流があるブルース・ストロナク前学長に敬意を表し名付けた。

TUJは英語能力の要件が高く、日本人の学生は全体の約4割で外国居住経験者などが大半。今回の奨学金創設で多様性を高め、質の高い国際教育の提供につなげる。

9日の会見で持田社長は「生まれや経済環境で違いがあっても勉強ではい上がれる。最後は自分で頑張れるかだ」と強調。ストロナク氏は「米国大学のカリキュラムで熱心に学べば、グローバル人材として日本の資産になる」と期待感を示した。

日刊工業新聞2021年9月10日

COMMENT

山本佳世子
編集局科学技術部
論説委員兼編集委員

TUJは長年、時々に取材をしてきたが、その環境の特殊さをここまで強く感じたのは初めてかもしれない。米国大学の日本校であるためもちろんすべて英語で、勉学は米国標準の大変さと理解してはいた。が、「日本の地にありながら、日本人比率は4割で、国公立高校卒が極少」というのは、「海外居住経験がないと英語能力の要件を満たせない」からであり、さらに(高収入の医師に直結する医学部でもないのに)これだけの学費が払える家庭に、対象が限られているからだ。そして米国大学への入学との違いは、「生活環境は日本」という点だけになる。奨学生はTUJで、それはそれは存分に鍛えられていくことだろう。

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