自動運転車の「目」レーザーレーダー、コスト高がネックだが将来100ドル未満に

低価格機種の投入相次ぎ、グーグルは自社開発

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Velodyneが提供する3種類のライダー。一番右がVLP-16(同社のウェブサイトから)
 自動運転車のキーパーツの一つが、周囲の物体をリアルタイムで高精度に検知するレーザーレーダー(LIDAR=ライダー)というセンサーだ。だが、実用化のうえでは高いコストが壁になっている。シリコンバレーに本拠を置くベロダイン(Velodyne)はそのパイオニア的存在。同社が開発した初期のライダーはグーグルの自動運転車などにも使われ、1個7万5000ドル(約900万円)以上もした。そうした中、現在ではライダーのコストダウンが少しずつ進み、近い将来には100ドル未満と劇的に安くなる可能性も出てきているという。

 音響機器メーカーとしても知られるベロダインのライダーはもともと、米国防総省国防高等研究事業局(DARPA)主催による2007年の自動運転車の競技会「DARPAグランドチャレンジ」のために開発された。バケツを逆さまにしたような大型センサーを屋根に取り付け、高速で回転させることで周囲360度の広い範囲にある物体を3次元で詳細に検知する仕組み。ただ、組み立てに多くの手作業が必要とされ、500個しか作られなかったため、クルマ2、3台分もする高価なものになっていた。ちなみにライダーは色を検知しないため、信号の色を識別するには別途カメラが必要になる。

 現在ではライダーのコストダウンが少しずつ進み、ベロダインのウェブサイトに出ている3機種のうち、一番小型の「PUCK VLP-16」は7999ドル(約96万円)と100万円を切るまでになっている。それでも、「顧客は1個あたり100ドルを下回るコストを我々に求めており、それが社内でロードマップのようなものになっている」。ベロダイン・ライダー部門の自動車セールスマネージャーは4日付のワシントン・ポスト紙にこう語っている。

 同紙によれば、ベロダインはさらに、500ドルを切る「VLP-32」の開発に取り組んでいるという。詳細な仕様は明らかにしていないが、自動運転車に十分使えるという。小型なのも特徴で、屋根に取り付けて周囲360度のセンシングを行うことももちろん、自動車メーカーの中にはサイドミラーに組み込もうと考えているところもあるという。北米と日本のメーカー2社と開発契約を結び、2016年4月までに供給を開始する。

 同じくシリコンバレーにあるクアナジー・システムズ(Quanergy Systems)は、回転など可動部の一切ない半導体方式のライダー開発を目的に2012年に創業したベンチャー。すでにメルセデス・ベンツ、現代自動車、ルノー・日産とパートナー契約を結んでいる。共同創業者でもあるロエ・エルダダCEOは、ライダーの価格が5年以内に100ドルを切ると公言し、価格破壊による爆発的な普及とこの分野での主導権を狙う。

 その一環として、クアナジーは今年7月に自動車部品大手デルファイからの出資を受け入れ、デルファイと新型ライダーの共同開発に乗り出した。来年1月には1個250ドルで出荷される見通しで、デルファイが試験中の自動運転車に搭載する。車体前後のコーナーにクルマ1台あたり計4個採用するという。

 一方で、ライダーの自社開発まで行なっているのがグーグル。自動運転車プロジェクトの開発責任者を務めるクリス・アームソン氏は、1日にマサチューセッツ州ケンブリッジで開かれたボルプ国立交通システムセンターでのイベントで、生産量が50個や100個というレベルであっても、7万5000ドルの機種と同じ性能を持ったライダーを1ケタ安く製造できると発言した。

 こうした動きに同調しないのがテスラモーターズだ。主力車種「モデルS」について、セミ自動運転ともいえる高速道路でのオートパイロット機能の提供を10月に開始した。だが、イーロン・マスクCEOはカメラとレーダーがあれば十分で、ライダーは必要ないとの考えという。

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COMMENT

藤元正
モノづくり日本会議実行委員会
委員長

グーグルはコストダウンや環境対応も含め、データセンターのサーバーを自社開発したりしているが、ライダーの開発にまで乗り出しているとは驚きだ。自動運転車のセンサー部分の技術までグーグルに握られてしまうとしたら、大変なことになるのではないか。

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