AI・データサイエンス人材育成へ大学院教育で一手、文科省が新事業

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文部科学省は2022年度に数理・データサイエンス(DS)・人工知能(AI)の大学院教育で二つの取り組みを始める。一つは経済学とDSが専門で金融データシステムについてエンジニアと議論できる人材などを育成。人文・社会科学系の修士課程の事業で22年度の予算概算要求に約9億円を盛り込む。もうひとつは情報理工学などの博士課程で、修士学生や学部生向けDS・AI教育の指導者などを育てる。国立大学の運営費交付金で支援する。

人文・社会科学系の修士課程の事業では、高度な数学やAIなどの技術を別の学位や副専攻のレベルで身に付けてもらう。学生はデータ関連の分析手法や意味合いを理解し、社会に出た際に十分に活用できるようにする。

経済学のほかにも社会のトレンドを把握するため、地理情報と人流を掛け合わせたり、政策文書を言語解析したりして企業や官庁などで活躍できる人材を育成する。教育プログラムを構築する大学の公募を行う。合計13件を選定し、1件当たり7000万円の補助金で支援する。

新たな博士教育の支援は、数理・DS・AI教育を浸透させるための国立大向け運営費交付金の一部を使う。情報理工学など研究科の博士課程は暗号や最適化理論、大規模並列計算といったテーマ別に学術研究者を養成する面があった。今回は各種テーマを横断できる能力を持つ、学部生や修士学生向けの数理・DS・AIの指導者、産業界でイノベーションを創出する人材の輩出を目指す。

詳細は同省の秋の有識者委員会で詰める。

日刊工業新聞2021年8月26日

COMMENT

山本佳世子
編集局科学技術部
論説委員兼編集委員

政府は「エキスパート育成、年2000人」を数理・DS・AI教育の戦略で掲げており、情報理工学系の大学幹部教員の関心を集めていた。今回の博士新プログラムがここの支援に当たる。情報理工学系研究科の博士課程は、暗号や最適化理論、大規模並列計算などテーマ別に、狭くて深い学術研究者を養成する色が強い。今回は博士でもこれらのテーマを横断する(広くて浅めの)能力を持つ人材を育成する。修了後は人材不足が問題となっている、学部生や修士学生向け数理・DS・AIの教育で、講義や演習を手がけることが期待される。“研究だけでない博士人材“として、産業界のDS・AI分野での引きも強くなるだろう。少し違う分野の博士学生も新プログラムで学べる形を整えられれば、これまでと異なる就職先が開拓できる。詳細は秋からの有識者委員会で詰めるとのことだ。

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