「フェムテック」に見た若さが持つ可能性の衝撃。年齢による経験値は偏見も生み出す

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女性の課題などを技術で解決する「フェムテック」の盛り上がりに、「数年前には考えられなかったこと」と驚く。長く歯がゆく思っていた案件が、ウェブの影響力でまたたくまに変わりゆく。さらに筆者は、このテーマに自然体で屈託なく取り組む男子学生らに接して、若さが持つ可能性に衝撃を受けた。

参加したのは理系の若者がジェンダーを学び、技術で課題解決するビジネス創出プログラム「ジェンダークエスト」だ。主催は東京工業大学関連ベンチャーキャピタルのみらい創造機構、女性のヘルスリテラシー向上を掲げる日本女性財団など。18―25歳の高等専門学校生や大学生、社会人など男女半々で、勉強会を経てビジネスプランを発表した。

5チームを通じて印象的だったのは、従来「当事者個人で解決すべきこと」とされてきた性が関わるマイノリティーの悩みに迫っていることだ。女性のジェンダーに絞らない案件が多かったこともユニークだ。具体的には母・息子や父・娘の“クロスひとり親”支援が1位に選ばれた。育休復帰時の支援も中心は妻でなく夫婦とした。男性向けメーク(化粧)コミュニティーは、メジャーの女性向けビジネスの裏をいく。

企業における女性の活躍推進は、モノやサービスの開発などが、男性目線に偏る問題を解消する点も期待されている。このフェムテックのイベントはちょうど逆の形だ。女性向けとして“切り離されていた”領域に、男性が入ることで別の広がりが出てきている。

参加理由として理系男子学生が「ジェンダーについて知っておこうと考えた」と口にするのも意外だった。ビジネスより前、経験が浅いからこその素直な気持ちを、大事にしたいと思った。

日刊工業新聞2021年8月2日

COMMENT

山本佳世子
編集局科学技術部
論説委員兼編集委員

社会人は年齢とともに経験を積み、ノウハウを蓄積し、自分なりの価値観を構築して、自らの判断や行動に自信を持つようになる。そのため「これはこうだ」というジャッジメントが、しばしば思い込みや偏見によるものとなってしまう。それを避けるために、謙虚な姿勢を忘れてはいけない。対して学生など年若い人は経験が少なく、ノウハウに乏しく、それだけに多様な事柄の価値や問題点を、素直に受け入れることができる。凝り固まった社会を変えるきっかけを出すのはマイノリティー(マジョリティーから見ると”変な人”)といわれるが、実際に変えていくには数のパワーも必要だ。デジタルネイティブの若い世代に、大いに期待したい。

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