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廃炉作業の利用に向け3年で実用化へ。遠隔操縦の水中ロボット開発が始動

福島工業高等専門学校など6者のグループが着手
廃炉作業の利用に向け3年で実用化へ。遠隔操縦の水中ロボット開発が始動

水中を自律移動するロボット「ラドほたるII」

福島工業高等専門学校(福島県いわき市)とタカワ精密(同南相馬市)、東日本計算センター(同いわき市)など6者のグループは、遠隔操縦の水中クローラー型作業ロボットの開発に着手する。東京電力福島第一原子力発電所の水没した原子炉建屋の床面の除染や遮蔽(しゃへい)、スラッジの回収などを担う。開発は鈴木茂和福島高専機械システム工学科准教授をリーダーとして取り組む。廃炉作業以外での利用も含め3年間で実用化を目指す。

東電福島第一原発では水没した原子炉建屋や燃料プールなどの床面の状況は十分分かっていない。床面に散乱するがれきなどの回収や除染は廃炉作業の重要課題。水中クローラー型作業ロボットの開発は福島県産学連携ロボット研究開発支援事業に採択され、東京電力グループの支援も受けて進める。

すでに6者グループは放射線環境下の格納容器内などでの使用を目指したロボット「ラドほたる」を開発した実績がある。ラドほたる開発で得た高放射線下での遠隔操作技術や地上用クローラー型ロボットの開発技術を融合し、数メートルの深さの水中底部を動くクローラー型ロボットを開発する。

計画では長さ50センチ×幅25センチメートル程度の小型ロボットで2本のクローラーで走行。必要に応じてサブクローラーも設置する。搭載するペイロードは作業内容によって検討する。防水構造で一定時間安定して水中を動くことが要求される。床面の放射線遮蔽のために吹き付ける材料も開発する。ロボットの制御ソフトは東日本計算センター、試作はタカワ精密が行う。

水中クローラー型作業ロボット(イメージ)

2021年度中にはロボットを試作、22年度には南相馬市のロボットテストフィールドで実証し改善策をまとめ、23年度の実用化を目指す。廃炉以外にも、災害時の海底における遺留品捜索などでの利用も検討する。

日刊工業新聞2021年6月25日

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