実は画期的、大学設備・機器の共同利用を加速する「研究基盤協議会」とは?
研究の基盤となる設備・機器の共同利用や技術職員らの課題解決に取り組む「研究基盤協議会」が本格稼働した。大学など特定の研究グループを超えた機器の共用化は若手研究者支援や研究力向上にとって重要で、第6期科学技術・イノベーション基本計画にも記載されて注目を集めている。同協議会は2021度に文部科学省が取り組む共用化ガイドライン策定に協力し、大学経営や地域・産学連携の議論も先導する。
研究基盤協議会は、文科省の機器関連事業に採択された国公私立大を中心に、約1500人が参加したウェブシンポジウムを契機に立ち上がった。会長は東京工業大学の江端新吾教授。研究・イノベーション学会内に設立した研究基盤イノベーション分科会に事務局を置く。ワーキンググループは経営・財務、インスティテューショナル・リサーチ(IR)・システム、人財活用、地方地域で活動を始めた。調査や資料をアーカイブ化し、政府への提言に生かす。
同協議会は専門機器の利用支援やメンテナンスを担う技術職員や教員を中心に、リサーチアドミニストレーター(URA)や研究担当理事ら多様な人が関わる。学会を活用することで、若手の支援業務と論文実績の両立も後押しできるという。
研究機器は外部研究費で購入し、特定研究室で使用するのが中心だ。しかし事業終了後はメンテナンスや支援人材の負担から十分に活用されていないケースがある。加えて大学が予算を抑えて研究力を高める必要性や、経営・研究戦略の観点から組織全体での更新や人材育成を図る必要もある。新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、遠隔地の研究機関が共用機器をリモート操作するなど共用化の動きも広がっている。
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日刊工業新聞2021年4月15日