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iPadとMacのハイブリッド製品の噂を全面否定、アップルのクックCEO

iPad ProはPCの代わりになるが、「MacとPCは違う」と強調
iPadとMacのハイブリッド製品の噂を全面否定、アップルのクックCEO

Mac BookとiPad/iPhone(アップルのウェブサイトから)

 「iPadとMac Bookを融合させたハイブリッド製品は作らない」。アップルのティム・クックCEOは15日付のアイルランド・インティペンデント紙とのインタビューでこう明言し、同社がマイクロソフトの「Surface Book」のようなハイブリッド端末の開発に乗り出すとの観測を全面否定した。

 同時に、発売したばかりのiPad Proは演算処理性能とグラフィックスの両面で優れているものの、それでMacintoshが不要になるという訳ではなく、iPadとMacintoshにはともに力強い未来があると強調した。

 実はこれには伏線がある。iPad Proの発売に合わせ、英テレグラフ紙に11月10日付で掲載されたクックCEOのインタビュー記事での発言だ。

 「あなたたちがPCを見ている時、なぜPCを買うのだろうかと私は思う。そう、iPad Proは多くの人たちにとって、ノートブックやデスクトップの代わりになる。いったん使い始めれば、電話以外のほかのものは必要ないと感じるだろう」。テレグラフ紙でのこうした発言に、一部で「PC=Macintoshは必要ない」「Mac Bookをやめるのでは」という憶測を呼び起こすことにもなった。

 そこで今度は火消しに回った格好。インディペンデント紙に対し、PCとはあくまでウィンドウズPCのことであり、「MacintoshとPCは同じとは考えていない」と断言してみせたのだ。

 その上で「Macintoshに搭載された(インテル製CPUの)x86とiPadの(自社設計による)Aシリーズのアーキテクチャーの違いは、以前に比べればだいぶ小さくなっている。だが、ユーザーがこれら二つのデバイスをどのように使うかには違いがある。だからこそ、『ハンドオフ』のような連携機能を使い、違うデバイスの間で非常にシンプルなやり方でシームレスに仕事ができるようにしている」。さらに、ここ数年落ち込んでいるiPadの販売台数についても「楽観的に見ている」とし、近い将来、反転するとの強気の見通しを示した。
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藤元正
藤元正 Fujimoto Tadashi
iPad Proがあまりに高性能で、別売のペンやキーボードでノートブック代わりの入力デバイスとしても十分使える。だからこそ、アップルが内心恐れているのはMac Bookの市場まで食ってしまうこと。もう一つ、現行ではインテルとARMアーキテクチャーのAシリーズという2系統のプロセッサーを使い分けているが、かつてMacintoshの製品ラインもAシリーズで統一するのでは、という噂もあった。時にユーザーの事情に関係なく、互換性を無視してOSやハードウェアを無理やり進化させてきたアップルの歴史を鑑みると、ハイブリッド機種を作るより、むしろインテルと袂を別つ方が現実的に思えてくる。とはいえ、今の状態はインテルに対し、いい意味で牽制球になっているのは間違いない。

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