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山梨の2大学グループが一番乗り、文科省が新設した“踏み込んだ”大学連携の価値

文部科学省は踏み込んだ大学間連携を後押しする「大学等連携推進法人」制度を創設し、第1号として「大学アライアンスやまなし」が文科相認定を受けた。国立大学法人の山梨大学と、公立大学法人の山梨県立大学で組織する一般社団法人で、認定により連携した科目開設や単位取得で特例が活用できる。将来は他の山梨県内大学とも連携を広げていく方針だ。

新制度は大学の設置者などを社員とする一般社団法人で、連携業務や組織の基準を満たしたものが対象となる。2月末に制度を創設し、申請のあった1件が初認定となった。

山梨大と山梨県立大は「連携開設科目」による教養教育の充実を目指す。相手大学が開設した同科目を、学部卒業に必要な124単位のうち30単位を上限に、自大学の科目の単位として認める特例を使う。通常の単位互換では自大学で124単位分を用意するが、これなら94単位ですむ。両大学の学部は専門領域の重なりが少なく、学生は相手大学の得意科目を広く学べるようになる。

また、両大学が共同して一つの課程を編成する「共同教育課程」も検討。通常は各大学の科目で最低31単位を履修するが、認定法人では20単位で済む。地域の少子高齢化を前に、負担を抑えて優れた教育を行う仕組みとして活用されそうだ。

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日刊工業新聞2021年4月6日
山本佳世子
山本佳世子 Yamamoto Kayoko 編集局科学技術部 論説委員兼編集委員
山梨の2大学グループが、以前から「一番乗りを狙う」と宣言していたので、第一号認定は予想していた。両大学と山梨県の連携協力協定を基に、2019年12月にアライアンスやまなしを設立し、それを認定に持ち込むという形だった。意外だったのは他に申請の案件がなかったことだ。単位互換より容易で魅力的な仕組み、それも新型コロナでオンライン授業が浸透する中で、「これは大いに活用できる」とみる大学は他にもあると思うのだが…。多くの地域で連携協定はあるも、法人組織にしていないというのがあるのだろう。踏み込んだ連携に動くべきか思案していると考えられ、今後の山梨グループの動きはより注目されるそうだ。

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