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地域に根差した生産をしていくために、環境に配慮したLPガスボイラを選定

イノアックコーポレーション
 イノアックコーポレーションは自転車タイヤの製造会社として創業。現在では二輪車タイヤ、工業用ゴムスポンジ、水道管用ゴムリング、化粧用パフなども合わせ製造している。もとは名古屋市内に工場を構えていたが、周辺環境への配慮から工場を移転させ、現在は岐阜県を中心に東北、九州、海外に生産拠点を置いている。現在ゴム製品は会社全体の売上げの20%を占め、ウレタンおよび樹脂がそれぞれ40%を占めるという構成だ。

 ゴム製品の製造拠点は、国内では池田事業所に集中している。海外生産が圧倒的に多く、国内では開発や比較的新しい製品の生産ラインを担っている。特に化粧品のパフは日本市場の25%を占めるという。

タイヤ、化粧用パフの製造に蒸気が必要


 「自転車、二輪車のタイヤ、化粧品用パフの製造工程はケーキの作り方とほとんど同じです」―こう話すのは、イノアックエラストマー業務管理室の安田正博室長。材料を混ぜ合わせて型に入れ、高圧蒸気で熱して膨らませたのち型から取り出し冷却、乾燥させる。所定の形に裁断し出荷となる。

 この製造工程で欠かせないのが蒸気だ。「他のボイラを使っている企業よりも高圧を必要とし、蒸気を使う量も多い。エネルギー効率と製造が密接に関係しています」(廣田英幸社長)。

 高温で熱するときにボイラで作った蒸気を送る。そのためボイラが停止してしまうと、1時間あたり200万円ほどの損失が発生してしまうのだ。「しかし昭和43年に導入した10トンの水管ボイラで老朽化しており、メンテナンスの手間も大幅にかかっていました」(安田室長)。ボイラの運転に際しては資格保持者が常に監視していなければならず、運転開始時には燃料であるC重油の加温が必要だった。

 ボイラの更新時、一番に考えたのは環境への配慮である。土壌汚染や煙突から発生する煤煙などの基準値は下回っていたが、周辺住民への配慮や長くこの土地で生産していくため、改善策が求められていた。

費用対効果の慎重な検討


 ボイラの更新は6年前から構想されていたが、投資金額が億単位のため費用対効果の慎重な検討が進められた。折しもゴム製品は海外生産拠点へのシフトが進み、為替の状況も現在に比べ海外生産が有利だったため、国内拠点ではより一層の効率化が求められていた。「2014年3月よりボイラの更新に踏み切りました。今であればもっとスムーズに判断が下っていたでしょう」(廣田社長)。

 重油に代わる燃料として、LPガスを選定した。燃焼効率が高いこと、安定供給ができることなどが決め手である。「LNGも検討していましたが、供給設備がLPガスに比べ高価であること、タンクローリーで配送するための工場内スペースが不足していることなどからLPガスに決めました」(安田室長)。
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昆梓紗
昆梓紗 Kon Azusa デジタルメディア局DX編集部 記者
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