文科省直轄の試験研究機関「NISTEP」が組織再編、データ活用推進

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文部科学省の科学技術・学術政策研究所(NISTEP)は4月に、政策研究でのデータ活用推進で組織再編を行う。新設の「データ解析政策研究室」(仮称)は、論文査読前の「プレプリント」やデータ公開・共有を調査研究のテーマに取り上げ、人工知能(AI)による新たな解析手法も開発する。また「政策基盤・予測調査研究センター」(同)は、過去から未来のデータをつなげて活用する基盤を構築する。

データ解析政策研究室は、情報系や新型コロナウイルス感染症で注目が高まっているプレプリントや、分野別に進むデータベース、論文を無料公開し専門家以外と対話するオープンサイエンスなど、デジタル変革(DX)による研究現場の新展開を取り上げる。

また、連携する理化学研究所革新知能統合研究センター(AIPセンター)の最先端技術を基に、NISTEP自身が活用する汎用的な解析手法を新たに開発する。

例えば大量の論文の引用関係だけでなく、背景説明や仮説否定など引用がどのような文脈で行われるかを自然言語処理でみる。博士人材数などの変化の要因を見つける因果推論や機械学習も活用する。

一方、既存の室・センター統合で設置する政策基盤・予測調査研究センターは、過去の論文情報や未来の科学技術予測など、NISTEP内でバラバラだった分析データを統合。政府が求める「エビデンス(証拠)に基づく政策立案」(EBPM)で、活用しやすい形を整える。

NISTEPは科学技術・イノベーション基本計画と期間をそろえた2021―25年度の中期計画を策定中だ。強化ポイントの一つが今回の統合データ資産の構築だ。またデータ活用の人材育成では、大学のリサーチ・アドミニストレーター(URA)やインターンシップ(就業体験)の学生の受け入れを計画している。

日刊工業新聞2021年2月25日

COMMENT

山本佳世子
編集局科学技術部
論説委員兼編集委員

NISTEPのデータ活用には、「だれが活用するのか」という観点から二つに分けることができる。一つは「だれ=自然科学を中心とする研究現場」というもので、プレプリントやデータ共有はこちらにあたる。もう一つは「だれ=NISTEP自身」で、AIを使った解析法の開発はこちらだ。政策を議論する中で「研究」という言葉がさらっと出てきた時、NISTEP関連では気をつける必要がある。「国として重要な自然科学を中心とした実験やシミュレーションの研究について、社会科学系研究機関のNISTEPが調査の研究をする」という形になっていることを、頭に入れておきたい。

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