学部解体の断行も、地方国立大学は破壊的改革へ
内閣官房まち・ひと・しごと創生本部(本部長=菅義偉首相)の検討会議は、地方創生をミッションとする地方大学(東京圏以外)の改革でとりまとめを行った。地域ニーズに対応した学部の解体・新設など、痛みを伴う改革を断行する大学長や自治体首長のリーダーシップを重視。手がける国立大学のごく一部に対して、文部科学省が学生定員増と経済支援を、最短で2022年度から行うとした。
とりまとめを行ったのは「地方創生に資する魅力ある地方大学の実現に向けた検討会議」だ。地方の国公私を越えた大学連携や、新産業創出や人材育成での産学官・地域連携の推進を強調した。「地域連携プラットフォーム」や「大学等連携推進法人」の活用が一手だ。大学トップには学部学科や教職員評価の悪平等を廃する覚悟と、デジタル改革(DX)など経営の工夫を求めた。
国立大の定員増と自由裁量の資金支援は、このためのインセンティブと位置付けられるためハードルが高い。検討会議では「一つか二つ」との声が出たという。文科省は定員増の要件を21年春にまとめ、夏に大学の申請受け付けを始めるが、22年度開始では既存学部の拡大となり大胆な改革計画が望めない。そのため候補は、地方創生に資する新学部設立などに合わせた23年度以降となりそうだ。
文科省は国立大の22年度からの第4期中期目標期間に向けて、経営や交付金の会議を走らせている。
存続を決めた同検討会議は、これらの議論に先導的な影響を及ぼすべく、文科省との連携を強化していく。
日刊工業新聞2020年12月24日