山口大は地方国立大のモデルになるか。研究機器の全学共用で学長直下の新組織

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山口大学は全学の研究機器共用を推進する「リサーチファシリティマネジメントセンター」を1月1日付で新設する。学長直下の組織で各学部の上に位置付け、3キャンパスを横断してヒト・モノ・カネを動かす。あわせて技術職員を全学組織に集約化してキャリア構築を後押しし、新型コロナウイルス感染症対応の遠隔化・自動化の機器更新を計画的に行うなどによって、研究力強化に結びつける。学外の利用拡大による地域連携も含め、地方国立大のモデルとして注目されそうだ。

研究の機器は各研究室・学部に所属することが多いが、山口大は学内の共同利用を進めるために、保守や修理の管理・運用だけを全学で行う「山口大方式」を採ってきた。新センターは共用化をより強い権限で進める狙いで、研究、施設の担当理事がセンター長、副センター長に就任する。

あわせて学部と同格の位置付けで新設する「総合技術部」に技術職員を集約する。マネジメントトラック、マイスタートラックの二つのキャリアパスを用意して若返りと伝承を両立。試行後に定年型雇用となるテニュアトラック制も導入する。技術職員は教員職員とも事務職員とも異なり、一般にキャリアパスが不明確だがこれを改善。施設・設備の計画策定に参画するなどの専門性向上も図る。

また広島大、岡山大などとの「中国地区バイオネットワーク」や、山口県の高速情報通信基盤「やまぐち情報スーパーネットワーク(YSN)」による県内研究機関との連携でも、機器共用を強化する。1台1億円の高額機器の共同利用などで、すでに中国地方の国立大は、研究費当たりの論文数が上位という実績を上げている。機器の遠隔化・自動化の機運を生かして、地方大のネットワーク強化が期待されそうだ。

日刊工業新聞2020年12月17日

COMMENT

山本佳世子
科学技術部
論説委員兼編集委員

分析機器の管理・運営や、簡単な実験装置の作成など手がける技術職員は、かつての国立大学には大勢いて、重要な研究支援人材だった。けれども中には特定の研究室でのサービスに業務が特化している人もいて、組織の中では中途半端だったこともあり、法人化後に削減されるケースが目立った。専門性の高い研究支援人材といえば、新しいところで大学のリサーチアドミニストレーター(URA)がある。部局を越えた組織やキャリアパス確立は、なるほど共通の課題なのだなと振り返った。

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