半導体の後工程製造装置、繁忙期は来年5月まで?ディスコ社長の市場読み

関家一馬氏に聞く

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ディスコ公式サイトより

フル稼働、来年5月まで繁忙期

―足元の事業環境について。

「7月くらいに年初来の繁忙期を終えたが、再度フル稼働宣言をした。通常は、夏から年明けまではのんびりできるはずだが、今年は2カ月くらいしか間がなかった。新型コロナウイルス感染拡大などで一時、(半導体メーカー側の)投資にブレーキがかかり、その反動として引き合いが強まっているのかもしれない。2021年5月頃までは忙しい状況が続くだろう」

―地域別売上高では、アジア向けが7割を占めています。

「(主要顧客である)半導体後工程請負業(OSAT)は中国、台湾、韓国、東南アジアなどが主だ。台湾が圧倒的に強い。中国は近年、自国内で半導体産業を育成しようとする動きが強く、成長スピードも速い。当社もここ4年くらい先行投資的に現地エンジニアを増やしている」

―米中貿易摩擦の影響は。

「特にネガティブではない。iPhone(アイフォーン)を買う人が減らない限り、半導体の総需要は減らない。(たとえ半導体製造装置メーカーへの中国向け輸出が規制されたとしても)それをどこでつくるかという問題になるだけだ」

「むしろ(米中のデカップリング〈分離〉が進めば)中国は中国内で、台湾などそれ以外の国は中国以外で生産しようとする動きが強まるはず。そうなれば、半導体メーカーの設備投資は活発化するだろう」

―レーザーによる切削加工技術に注力しています。

「現在、装置としては砥石(といし)とレーザーの割合が2対1弱くらい。レーザーはチップの小型化や切断の高速化、加工品質の精度の高さなどのさまざまな点で優れる。レーザーの需要は今後増えていくだろう。ただ、2年間にかかるコストは砥石の10倍で、使い慣れた砥石を好む顧客もまだまだ多い」

―桑畑工場(広島県呉市)と茅野工場(長野県茅野市)にそれぞれ新棟を建設中です。

「それぞれ21年8月、20年12月に完成予定。両棟が稼働すれば理論的に建物としては3000億円分を生産できる能力を持つ(20年3月期の売上高は1410億円)。顧客の需要に応じて、必要な従業員の雇用や生産設備の投資を行っていく」

*取材はオンラインで実施。写真は2019年4月に撮影したものを使用

【記者の目/消耗品継続生産、災害に備え】
ディスコ社長・関家一馬氏

ディスコが茅野工場を拡張する背景には、BCM(事業継続マネジメント)強化の狙いがある。現在、砥石は広島だけで生産しているが、長野でも生産できるようにする。災害などのリスクに備えるためには、消耗品である砥石を絶やさないことが重要だからだ。長野で砥石の生産文化をいかに立ち上げられるか、注目したい。(張谷京子)

キーワード
半導体製造装置

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