大学の教育も経営も変える、オンライン授業のパンチ力

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教職員支援サービスの拠点がオンライン授業をサポート(早稲田大学提供)

大学の2020年度前期は、新型コロナウイルス感染症の対応で大半がオンライン授業となった。新学期スタートを5月初旬など遅らせ、教員は新しい手法対応の教材作りに追われた。

当初は通信環境など問題が多かったが、進むにつれてメリットも判明。「チャットでの発言は通常より格段に多い」「繰り返し視聴でよく理解できる」など、教員・学生双方からプラスの指摘も出るようになった。

手法は、動画やテキストの収録を視聴するオンデマンド型が一つで、学内サーバーで集中管理する学習管理システム(LMS)などが活用された。もう一つは「ズーム」などウェブ会議システムのリアルタイム型だ。対面授業と比べて教育の質を落とさないよう講義合間のクイズ、終了後の課題提出、質問受け付けの機会設定などが奨励された。

その結果、「遠距離通学で授業は居眠り」となりがちだった学生は、通学時間削減と課題増の両方の変化を実感した。一方、自宅でパソコンに向かい続ける孤独感と精神的不安は、キャンパス生活も友達づくりもないままの新1年生を中心に、大きな問題となった。

後期に入って対面授業は一部再開され、登学をずらしたり、大教室で席の間隔を開けたり対策をとりながらの実施になった。「ゼミや実験、実習を中心に対面授業を実施し、オンライン授業と組み合わせる」のが最適とされ、先進的な「反転授業」の導入も一部でみられる。しかし座学で済む文科系中心の大規模大学など、感染を恐れて対面に後ろ向きなケースも多く、学生の満足度にバラつきが出ているという。

教職員が学生本位で努力したかどうかは、年明けからの動向に影響し、大学経営の二極化を進めそうだ。評判の悪い大学では受験生減や、年度末の休学・退学増が見込まれるためだ。

デジタルツールなどへの投資余力がなく、施設整備の柔軟な対応ができない大学では、その後の経営難も予想されそうだ。

日刊工業新聞2020年12月7日

COMMENT

山本佳世子
科学技術部
論説委員兼編集委員

大学の学部生教育は、手法も内容も伝統的なものが脈々と続くものだ。アクティブラーニングやプロジェクト・ベースト・ラーニング(PBL)といった手法が、新顔(といっても10数年前から)で一部の大学、一部の教員で手がけられている程度だった。それだけにオンライン授業はまさに、数十年に1度のもので、そのパンチ力は強力だ。これまでは学生の学び、教員の活動として注目されていたが、これからは大学の経営への影響ががぜん、大きくなってくるだろう。

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オンライン授業

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