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映画から30年、さらに30年後の未来技術は? DARPAが世界に聞いてみた

ホバーボードから宇宙エレベーター、思考伝達技術、人工臓器に透明マント
映画から30年、さらに30年後の未来技術は? DARPAが世界に聞いてみた

(DARPAのサイトから)

 家庭用ビデオ電話から、声や指紋で個人を識別する装置、さらには車のトランクに入る核融合装置や空飛ぶクルマまで…。『バック・トゥ・ザ・フューチャーII』では30年後の未来に当たる2015年の様子を描いて見せたが、では今から30年後の2045年にはどんな素晴らしいテクノロジーがわれわれを待ち受けているのか。先端技術開発を推進するDARPA(米国防総省国防高等研究事業局)が、ソーシャルメディアを使って「2045年の技術予測」を世界中で聞いてみたところ、上から多い順に以下のような未来技術が挙げられたという。果たしてこのうち、どれだけ実現するのだろう。

-宇宙:光より速い移動手段を使った惑星間・恒星間の宇宙旅行。月や火星への移住、小惑星帯でのミッション、宇宙エレベーター。

-交通/エネルギー:自動運転車と電気自動車が普及。空飛ぶクルマや(『バック・トゥ・ザ・フューチャーII』に出てきた)ホバーボードも登場。効率的な太陽光発電など持続可能なエネルギー源。

-医療/健康:記憶を拡張したり、他人に伝えたり、人の心を読んだりできる神経デバイス。寿命の延長や、脳の情報をコンピューターにアップロードして事実上の不死を実現する技術。人工細胞、人工臓器。スタートレックの「トライコーダー」のように自宅で診断・治療ができる医療機器。ロボットスーツ(エクソスケルトン)、AR(拡張現実)機能がついたメガネやコンタクトレンズ。

-素材/ロボット:あらゆるところにナノテクが普及、3Dプリンターやロボット。光学的に見えなくする「透明マント」、エネルギー遮断技術、反重力装置。

-コンピューター/ビッグデータ:人工知能が発達、光や量子を使ったコンピューター技術、高速で安全なインターネット。データ解析の活用が進みリソースの利用が改善。

 一方で、専門家の意見も聞いてみたい。専門の異なる3人のDARPA研究者による、2045年に向けての予測やビジョンは次のようになっている。

-パム・メルロイ(航空宇宙エンジニア・宇宙飛行士):機械がパートナーとして人間と協調しながら、より複雑な任務をこなす。

-ジャスティン・サンチェス(神経科学者)
考えただけで周囲やほかの人に意思を伝えられる技術。

-ステファニー・トンプキンス(地質学者)
原子・分子レベルから物質を組み上げ、これまでできなかったような機能を持つ素材を新たに作る。
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藤元正
藤元正 Fujimoto Tadashi
なんと、映画でデロリアン型のタイムマシンを作った「ドク」はDARPA出身者だったのだとか。予測のいくつかは30年後に実現しているかもしれませんが、この中にタイムマシンが入っていないのは、たぶんその時点でも不可能だからでしょう。とはいえ、中には「時間旅行の実現は近いものの、安全保障上、その技術を軍が握っている」というトンデモ意見も寄せられたそうです。それに対してDARPAでは「すでに明日作ってしまいましたよ」とタイムマシンばりに時制がねじれた冗談を飛ばしています。

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