研究者のテレワークは進むか、文科省が機器の遠隔化・自動化へ新事業

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文部科学省は2021年度に、複数の機関で活用する高度な研究機器の遠隔化・自動化で新事業を始める。大学や国立研究開発法人がこれらの機能を組み込んだ1台数億円などの先端研究設備を、新規購入・更新・改修する経費を支援する。新型コロナウイルス感染症対応で3密を避けると同時に、距離や時間に縛られない多様な研究者の利用を後押しする。21年度予算の概算要求で110億円を要求する。

機器の遠隔化・自動化は、人が入れない光ビームや風洞の実験・シミュレーションや、材料やライフサイエンス分野の測定・解析の装置で先例がある。測定前の前処理や調整、測定や解析を自動で行うツールやソフトウエア、数十の試料の自動装填・交換や化学反応の後処理をするロボット、遠隔で観察するシステムなどだ。

新事業ではこれらの機能を、10億円程度のクライオ電子顕微鏡や3億円ほどの電磁場解析装置など、国内に数台しかない高度な装置に組み合わせるケースなどを支援する。高速通信システムやネットワークを介して、研究者が研究施設に出向かずに利用すれば、新型コロナ対策と機器の共用が進む。公募により数億円で数件、1億円で数十件を採択する。

また文科省は高度な機器共用の仕組み「共用プラットフォーム」構築の事業を動かしてきた。これも遠隔利用や自動化の切り口を加えて21年度にリニューアルする。

研究装置は一般に数百万円以下のものは競争的資金や運営費交付金で整備される。数千万円の機器の遠隔化・自動化は、20年度補正予算で21億円が用意され、約90件の応募から約30件が採択された。さらに高額な装置は補正予算で購入する機会があっても、更新や改修の経費に乏しい点からも、新事業は注目されそうだ。

日刊工業新聞2020年9月25日

COMMENT

山本佳世子
科学技術部
論説委員兼編集委員

機器の自動化・ロボット化はこれまで、作業を効率化したり人によらず安定したデータを出したりする目的で、進みつつあった。それが新型コロナ対応で、別の推進力が発生した。近年、機器の共用化をキーワードとしてきた文科省の担当課は、まず補正予算で緊急対応したが、補正のため年度内の実行で小ぶりの設備が中心になったという。今度は高度で規模の大きい設備が対象で、大学などの研究戦略にバッチリはまる部分だ。要求額も大きくチャレンジングだが、高価な機器を多様な研究者で共用する流れを定着させる、絶好の機会として応援したい。

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