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米大学が特許侵害でアップルに勝訴、280億円の賠償命令

プロセッサー特許巡り、最新機種iPhone6s/6s Plusでも別の訴訟起こされる
米大学が特許侵害でアップルに勝訴、280億円の賠償命令

2014年9月のiPhone6の発表でA8チップを紹介するアップルのフィル・シラー上級副社長(キーノート映像から)


 一方、ウィスコンシン大学マディソン校は、研究レベルが非常に高い州立大学の一つとしても知られる。先日、英タイムズ・ハイアー・エデュケーション誌が発表した2015-2016世界大学ランキングでは50位。ちなみに日本で最高の東京大学は43位となっている。

 日本との関連で言えば、インフルエンザ研究の第一人者として世界的に有名な東京大学の河岡義裕教授はウィスコンシン大学教授を兼務。幹細胞研究のジェームズ・トムソン教授は受精卵由来の万能細胞であるヒトES細胞(胚性幹細胞)を1998年に世界で初めて作り出したほか、京都大学の山中伸弥教授がまずマウスで作製したiPS細胞(人工多能性幹細胞)でも、ヒトiPS細胞については山中教授とトムソン教授のそれぞれの研究チームが論文発表で同着となった。

 コンピューター関連では、世界初、オープンソースの汎用グラフィックスプロセッサー(GPGPU)「MIAOW(ミャーオ)」がマディソン校発のプロジェクトだ。

 さらに、過去に遡れば、心筋梗塞や脳梗塞、血栓症の治療および予防用として、血液を固まりにくくするのに使われる医薬品の「ワーファリン(ワルファリン)」が有名。もととなる化合物が1933年に同大マディソン校の研究室で単離され、「ワーフ」に由来した名前がつけられている。
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藤元正
藤元正 Fujimoto Tadashi
以前、WARFの関係者に会ったことがあるが、そのパワーは強力。一部には、保有特許をもとに大企業から巨額の賠償金や特許のライセンス料をむしり取る「パテントトロール」と陰口を叩く向きさえある。とはいえ、大学が優秀や科学者を集め、巨額の費用のかかる先端研究を進める上では、特許をもとに資金を集める役割は重要で、こうした凄腕の技術移転機関(日本ではTLO)の存在が欠かせない。

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