都市の犯罪発生を予測し、未然に防ぐ

米・英・ウルグアイの警官が利用

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PredPolによる要注意エリアの表示例 [出所: PredPol Predict Crime in Real Time(Fall, 2014)]
 公的機関が保有するデータを公開して民間で活用するオープンデータが世界中で広がりをみせる中、過去の犯罪実績データを地図にマッピングしたクライムマップを目にする機会も増えてきた。市民はクライムマップを見ることで、知らない土地でも危険な地域を避けることができるようになる。

 米カリフォルニア州サンタクルーズのスタートアップであるPredpol(プレッドポル)は、地震の余震予測モデルを犯罪予測に活用することによって、犯罪の予測精度を2倍以上改善することに成功した。カリフォルニア大学ロサンゼルス校とアーバイン校、サンタクララ大学の数学および社会科学の博士たちと、ロサンゼルス警察、サンタクルーズ警察の犯罪分析官および現場警察官とからなるチームは、6年にも渡る研究の結果、犯罪は地震と同じようにある種の断層に沿って発生することを突き止めた。

 犯罪は決してランダムに発生するわけではなく、予測可能なパターンを伴うある種のクラスターを構成することが明らかになったのである。

 Predpolは、犯罪種別、場所、時間帯を割り出し、一辺が500フィートの赤いボックスで地図上に要注意エリアとして表示する。対象としている犯罪は、暴力・襲撃、家庭での盗難、自動車盗難などである。警察官はどこで自動車盗難が発生しそうか、どの時間帯で発生しそうかを、スマートフォンアプリで簡単に知ることができる。要注意エリアでは、警察官は車の中で不審な動きをしている人がいないか特に注意を払ってパトロールする。

 Predpolによると、犯罪発生減少率は一般的に20%程度である。ロサンゼルスでは、19週間のうちに犯罪発生率が47%減少した。一般的に要注意エリアにおいて15分~2時間パトロール時間を増やすことにより、5~15%程度犯罪発生件数を減らすことができる。警察官が要注意エリアで動き回ることにより、その後の犯罪発生が抑止されるという効果もある。現在、米国、英国、ウルグアイの3カ国で1500万の警察官がPredpolを利用している。

 2020年の東京オリンピック・パラリンピックには海外から多くの外国人が日本を訪れると予想されており、迎える警視庁は「世界一安全な都市、東京」を実現しようと意気込んでいる。犯罪をさらに減少させ首都東京への信頼感を高めるために、Predpolを活用してみるのもよいのではないだろうか。

著者:国際社会経済研究所主幹研究員 東 富彦(あずま・とみひこ)
連載「ICT世界の潮流」パートⅢ(2)

2015年04月10日 電機・電子部品・情報・通信2面

COMMENT

藤元正
モノづくり日本会議実行委員会
委員長

地震の余震発生予測モデルを犯罪予測に応用する、という発想に驚きです。

キーワード
プレッドポル

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