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コマ完敗、対戦企業に入社−黒澤さん、白石工高からキャステムに

「悔しさより技術に感動」
コマ完敗、対戦企業に入社−黒澤さん、白石工高からキャステムに

新入社員研修中の黒澤さん

 第2回全日本製造業コマ大戦全国大会に出場経験のある黒澤利希斗さん(18)が、4月にキャステム(広島県福山市、戸田拓夫社長)に入社した。3月に宮城県白石工業高等学校を卒業した黒澤さんは高校時代、コマ大戦全国大会でキャステムと対戦し、敗れたという苦い経験がある。

 部活動で機械部に入っていた黒澤さんらは教頭先生の薦めでコマを製作。コマ大戦の地方予選で準優勝し、1年生の黒澤さんが作った六角形のコマが部内で選ばれて全国大会に臨んだ。
 だが1回戦の対戦相手だったキャステムに完敗。黒澤さんは「悔しい思いよりも、緻密に計算された設計のコマを見て、『この会社はすごい技術力があるんだな』」と感動した。大人たちが真剣にコマ競技に打ち込んでいる姿にも魅了された。

 高2の時、戸田社長と宮城県内の復興イベントで再会し「キャステムに入社したい」との思いが固まった。就職活動時は迷うことなくキャステムを受験し内定を得た。
 黒澤さんには夢がある。「社員として技術力を身に付けたいし、コマ作りもやってみたい。今度は全国大会で優勝したい」と敗者復活を誓う。


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『直径2センチの激闘 町工場が熱中する全日本製造業コマ大戦』
全日本製造業コマ大戦特別取材班 著
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「全日本製造業コマ大戦」は、全国の町工場の職人が、自作の喧嘩コマを持ち寄り、戦わせて日本一を決める戦いだ。わずか直径2cmのコマに、磨かれた技術とそれぞれの想いをのせ、全国に散らばるライバルの頂点を目指す。ふとしたきっかけで始まったコマ大戦は全国に広がり、日本のモノづくりの魅力を伝える新たな旋風を巻き起こそうとしている。本書では、開催秘話と各大会の模様を紹介し、コマ大戦の魅力を伝える。
日刊工業新聞2015年04月10日 列島ネット面
昆梓紗
昆梓紗 Kon Azusa デジタルメディア局DX編集部 記者
「全日本製造業コマ大戦」ご存知ですか?コマは直径20mm以下。とても小さな戦いですが、毎年技術と意地がぶつかり合い、大激戦が繰り広げられています。くわしくは紹介した書籍を参照ください。 この大会がきっかけで会社に惚れこみ、就職。参加者や主催者を大いに元気づける事例です。

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