施設整備予算で予想外の存在感、「高専機構」に注目集まる理由
国立大学などの施設整備の予算が国土強靱(きょうじん)化の措置などで一息つく中、国立高等専門学校機構が注目を集めている。今冬の国立大グループの予算計1117億円のうち、高専機構向けが2割を占めるためだ。政府の「骨太の方針」では2019年度、高専の記述が初めて登場してもいる。背景には途上国で高専の仕組み導入が進むなど、国内外での評価アップがあるようだ。(取材=編集委員・山本佳世子)
「国立大学法人等施設整備費」は、補正予算と本予算と合わせた“15カ月予算”で対応するのが一般的だ。20年度予算案は361億円、これに国土強靱化の430億円が加わる。19年度補正予算は326億円。合計1117億円が確保され、国立大関係者は安堵(あんど)している。
「国立大学法人等」は86の国立大学法人と、四つの大学共同利用機関法人と、51の国立高等専門学校を傘下に持つ高専機構を指すことが多い。国立の高等教育機関のグループとして、予算も3タイプの法人が隣り合ったり合計されたりして示される。
ところが19年度の補正予算326億円では「国立大学等166億円」「国立高専160億円」と明記された。台風の災害復旧向け6億円を除くと、「86国立大と4大学共同利用機関法人」と「51高専の高専機構」が同額だ。この存在感は予想外のものだ。
理由は「高専制度はまもなく60周年で、数校ずつ開設した順に大規模改修が必要になる」(文部科学省の文教施設企画・防災部)ためだ。国際化で留学生寮の整備もある。
しかし背景には、モンゴルやタイが高専を手本に教育制度を整備するなど、高専の評価向上があるようだ。評判を耳にした国会議員が地元の高専を見学し、10代半ばの学生の活躍に感激することも多い。高専機構の谷口功理事長は「モノづくり力にたけた高専こそ、情報技術と掛け合わせた新産業創造をリードできる」と使命感に燃える。
