NTT・インテル・ソニーが構想「光でデータ処理」の未来

共同研究・技術仕様を策定

NTTが開発した光トランジスタ
 NTTは31日、通信ネットワークから端末まで光を使うことで膨大なデータを迅速処理する「IOWN(アイオン)」構想の具現化に向け、2020年春に米インテル、ソニーと「IOWNグローバルフォーラム」を米国で設立すると発表した。3社が発起人となって電機大手や通信事業者の参加を呼びかけ、共同研究や技術仕様の策定を実施。25年ごろからの実用化を目指す。(編集委員・水嶋真人)

都市機能最適化


 IOWN構想の狙いは、IoT(モノのインターネット)センサーで収集したあらゆる製品のデジタルデータを人工知能(AI)で分析、さまざまな都市機能を最適化するスマートシティー(次世代環境都市)時代に対応できる情報処理基盤の構築だ。そのためには膨大なビッグデータ(大量データ)をリアルタイムに利活用できる仕組みが不可欠となる。

 だが、電子機器のデジタルデータを光ファイバーケーブルで伝送する現状の方法では、電気信号を光に変換する際に負荷がかかって遅延や発熱が起き、電力消費も大きくなる。電気の流れを制御するトランジスタの集積度が約2年ごとに2倍になるムーアの法則の限界も見え始めた。電気によるデータ処理では、車の自動運転や都市機能の最適化に必要な膨大なデータをリアルタイム処理することが難しくなる。

 IOWN構想では、ネットワークから端末までを光化する。チップ間やチップ内のコア間の伝送に電子ではなく光子を使った光プロセッサーを映像カメラやスマートフォン、ウエアラブル端末などの機器に搭載。光ネットワークには機能ごとに波長を割り当てることで、データ処理に伴う遅延を200分の1にする。

電力効率100倍


 電力効率も100倍となるため、消費電力を大幅に減らし、1年間充電せずに使えるスマホも可能になる。これにより、都市の交通や人流など膨大なデータをリアルタイム分析し、待ち時間ゼロの病院やレストラン、渋滞がない道路、自動運転などを実現させる。

 NTTは長年、光工学技術の研究開発を続けており、4月に世界最小の消費エネルギーで動作する光変調器と光トランジスタを開発している。NTT研究企画部門の岩科滋R&Dビジョン担当部長は「IT機器開発に深い知見と技術を持つインテルとソニーに声をかけ、3社でフォーラムを設立することで合意した」と語った。

世界を再リード


 今後、複数の日本企業がIOWNグローバルフォーラムに参加し、電子制御から光制御への“ゲームチェンジ”を実現できれば、日本の産業界が再び世界をリードできる可能性が生まれる。それだけに、来春のフォーラム設立時の参加企業の陣容に注目が集まりそうだ。

日刊工業新聞2019年11月1日

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