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国際的な研究者「派遣・受け入れ」の大学トップ3、東大と京大ともう一つは?

“頭脳循環”進まず 文科省調べ
 文部科学省は大学や国立研究開発法人などの国際的な研究交流について、2017年度の調査結果を公表した。研究力強化で重要な研究者の「中長期」での「派遣」「受け入れ」はそれぞれ約4300人、約1万3000人。どちらもここ10年ほど横ばいで、政府が掲げる“国際頭脳循環”は進んでいない状況だ。大学別の中長期のトップ3は派遣・受け入れともに東京大学、京都大学、早稲田大学だった。

 海外への派遣数のうち短期(1カ月以内)は約17万人で、中長期(1カ月超)とは差が大きい。短期派遣はここ7年ほど右肩上がりだが、腰を据えた交流で国際共著論文につなげる、という意味では難しい面がある。受け入れ数は短期が中長期の倍程度で、東日本大震災後の落ち込みは解消されている。

 機関別に見ると中長期の派遣が多いのは東大、京大、早大に続いて4位大阪大学、5位名古屋大学、6位東北大学、7位北海道大学、8位神戸大学、9位筑波大学、10位東京工業大学だ。中長期の受け入れでは大学のほかに8位理化学研究所、9位産業技術総合研究所など国立研究開発法人も食い込んだ。

 調査は未来工学研究所への委託で行われた。回答は計842機関(回収率94%)。
日刊工業新聞2019年9月26日
山本佳世子
山本佳世子 Yamamoto Kayoko 編集局科学技術部 論説委員兼編集委員
3位にどこがくるかは、規模も大きい東大、京大を別にして興味深い。「受け入れの短期なら高エネルギー加速器研究機構」「受け入れの短期・中長期合計なら筑波大」「派遣の短期や、短期・中長期合計は大阪大学」と顔ぶれが変わってくるからだ。また私立で20位までに名が入るのは、早大のほか慶大と立命館大となっている。

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