社会人の地元就職、文科省が学び直しと合わせて支援する新事業

2020年度概算要求に25億円

 文部科学省は地域での新たな活躍に向けた社会人の学び直し(リカレント)教育と、地元企業への就職をセットにした新事業を2020年度に始める。大学を中心に産業界や自治体が連携し、農業の6次産業化や観光新事業の創出、中小企業の事業承継などの担い手育成に向け、実践的な教育プログラムを進める。さらに地元関係者との演習を通じて、都市部から移住するキャリア転換がスムーズに進むよう支援する。20年度予算の概算要求で25億円を要求する。

 都市で働く社会人が地方移住の希望を持つ場合、就職先の確保(出口)とそれに合ったスキルの獲得が問題になる。今回の「出口一体型地方創生人材養成システム構築事業」は両課題を解決する。42地域を選定し、1地域年6000万円弱で5年間、支援する。

 まず文科省の「地(知)の拠点事業」などで構築された地域の産学官連携コンソーシアムで、求める人材や大学のミッションに合ったリカレント教育のプログラムを構築する。受講者は就職先となる企業や自治体とのマッチングと並行し、ウェブ配信などによる学びでスキルを高める。さらに現場での演習を地元の企業人、自治体関係者、若い学生らと行って刺激し合う。これにより移住や、安定的な副業としての可能性を高め、地方創生につなげる。

 教育の内容は、1次産業の高度化や起業家育成、新事業の企画やマーケティングなど地域課題に合わせて決める。対象も就職氷河期世代や、地元中小企業の幹部となる経営人材など多様だ。また域内の住民や公務員が地域運営のリーダーになるためのコーディネーター養成も、同事業で応援していく。

             

日刊工業新聞2019年8月30日

COMMENT

山本佳世子
科学技術部
論説委員兼編集委員

地方移住の思案をする人が、世代を問わず増えている昨今。「今のスキルと違う仕事に就くことになる…」「知り人がいない中でやっていけるか」といった悩みがあるだろう。新事業は【学び】と【お試し】を同時に進める仕組み。「これならやってみよう」とチャレンジする人が増えてくるのではないか。

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