若手・理系女性の雇用促す「学長裁量ポスト」貸し出しの仕組み

埼玉大学が開始

 埼玉大学は、教員の「学長裁量ポスト」を期間限定で部局(学部など)に順繰りに貸し出す仕組みを始めた。若手や理系女性を、教授らの定年退職と後任補充の時期に先立ち、部局がポストを借りる形で雇用する。多様性の向上と教員増で活性化するインセンティブ(意欲刺激)が部局に生まれ、改革が進むと期待できる。2019年度から計6人分での適用を実施・計画している。

 国立大学は近年、運営費交付金の削減を背景に、定年など退職教員の補充を遅らせたり、組織再編で部局を縮小させたりし、浮かせた教員ポストを学長裁量で活用する例が増えている。任期のない貴重なポストを、重点分野の強化に向けた教員採用などに活用するのが狙いだ。埼玉大はこのポストを一つの部局に固定させず、多様性向上に向けた採用計画を持つ部局に、2年間限定で貸し出す。 

 例えば工学部で2年後に定年退職者が出るポストがあり、後任に理系女性の教員採用を計画したとする。これに合わせて学長裁量ポストを借りて女性教員を前倒しで採用すると、増員状態で余裕が出る。2年後に学長裁量ポストは他部局に回り、この女性教員が定年退職者の任期なしポストを引き継ぐ仕組みだ。

 この形で4月に理系女性教員2人を、分子生物学と情報システムで採用、さらに2人の採用枠の活用を呼びかけている。若手は分野に制限がなく、10月に2人採用する予定だ。

 埼玉大は全学予算のうち人件費が支出の7割弱と高めで、教員の削減を進めてきた。一方、年10人程度の定年退職教員の枠などを使い、10数ポストを部局の采配から学長裁量ポストに変えている。

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日刊工業新聞2019年8月8日

山本 佳世子

山本 佳世子
08月09日
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若手と女性の採用で、分野の配慮に違いがある点が興味深い。同大では理系で女性の採用を推奨しているが、文系ではすでに女性はそれなりに
多く、推奨してはいない。一方で若手は、分野によらず推奨している。そのため図の2段目のように、文系でのみ「女性教員の退職後は、女性より若手を採用することに後押しが生まれる」わけだ。分野による違いは様々な点で、学外者で想像する以上に大きく、議論において注意が必要だと感じている。
             

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