電子コミックはデータ分析でさらに成長する

インフォコム社長・竹原教博氏が主張

 紙のコミック市場は1993年をピークに長年縮小が続いているが、電子コミックはこの5年で20%前後の急成長しており、18年度の市場規模は約2000億円に達した。これを受け、紙と電子を合わせたコミック市場全体も成長基調に転じている。当社は国内で電子コミック「めっちゃコミック」を提供している。若者を中心に「本離れ」が指摘される中、重視しているのがリアル書店との連携だ。

 これまでに大手出版取次会社と組み、電子コミックで人気の作品を書店店頭に集めるイベントを実施した。電子コミック内の特設ページや会員制交流サイト(SNS)に参加書店を記載し、店頭ではウェブのバナー広告風の掲示物(POP)を掲示するなどし、電子コミックのユーザーも迷わずに購入できる工夫をした。

 最近では、電子コミックでヒットすると、紙の書籍も売れる傾向が強まっているという。このため、電子コミックの普及を進めながら、紙の書籍の提案もしていくことで、出版社やリアル書店とウィンウィンの関係を構築していくことが大事になる。

 電子コミック事業で意外だったのが、それまではコミックをあまり読まないと思われた女性読者の存在だ。当社が提供する電子コミックの場合、会員の8割が女性だ。なぜ女性の読者を開拓できたのか。その理由として当社の強みである「データ分析」が挙げられる。リアルタイムの売れ筋情報を分析し、作品のランキングや読者へのレコメンド(おすすめ)に反映するなど、マーケティングに活用してきた。

 さらに一昨年に情報基盤を整備し、ビッグデータ(大量データ)分析を本格化した。人工知能(AI)を活用し業務効率を上げるとともにデータ処理のスピードを上げることで、電子コミックの売り場であるサイトデザインの改善にもつながり、マーケティングの効果が上がっている。分析対象はユーザーの購買履歴やサイト内行動履歴だけでなく、絵柄などの非数値データも取り込むことで精度の高い売れ筋予測が可能となりつつある。

 当社はデータ分析を武器に今後も成長を継続し、国内だけでなく海外への展開も進めていく。隙間時間の活用として見ると、電子コミックのライバルは同業他社だけでなく会員制交流サイト(SNS)やゲームかもしれない。

インフォコム社長・竹原教博氏

【略歴】たけはら・のりひろ 85年(昭60)米カリフォルニア州立大学チコ校コンピューター・サイエンス卒。92年インフォコム入社、09年取締役、12年社長。千葉県出身、61歳。

日刊工業新聞2019年6月3日

  

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