【日立建機】拡大する部品再生事業が大事なこれだけの理由

連載・企業研究/日立建機(4)

部品の再生を進める常陸那珂工場
 茨城県ひたちなか市。日立建機の常陸那珂工場で、複数の作業者が大型の鉱山機械部品を取り囲んでいた。モンゴルの鉱山から送られてきた部品で、新品同等に再生する作業が進む。

 建設機械や鉱山機械が安定して稼働し続けるには部品の交換が欠かせない。日立建機は顧客の要望に応じて、新品の部品に取り換えるのに加え、再生部品も供給している。

現場で交換


 例えば建機のエンジンが故障すると、修理サービスではエンジンを工場に持ち帰って直すため、建機が稼働できなくなってしまう。一方、再生したエンジンを利用する場合、建設現場で使っているエンジンと交換でき、稼働できない時間を減らせる。しかも新しいエンジンに取り換えるよりもコストを抑えられる。壊れたエンジンを回収後、工場で再生して在庫することで、現場に円滑に供給する。

 部品事業部再生センタ長の菅原道雄は「再生事業は(新型機販売以外で稼ぐビジネスモデルの)『バリューチェーン』のカギだ」と意気込む。

 日立建機は日本や豪州、インドネシアなど世界8カ国で再生事業を展開しており、対象の部品は油圧ポンプや走行装置、変速機など幅広い。洗浄や分解、加工修理などの工程を通じて、再利用できる状態に生まれ変わる。

 再生事業で重視するのが、部品を回収するタイミングだ。「部品の損傷や消耗などが少なければ、再生にかかるコストを抑制できる」(菅原)ためだ。

 各サービス拠点の担当者が顧客と連携して交換時期を的確に提案するとともに、建機の稼働状況を監視するサービス「コンサイト」も再生部品の提供に役立つ。

 使用された部品の回収率がほぼ100%でスクラップの削減にもつなげている。また回収を通じて稼働に関連するデータが得られるのも大きい。開発部門とデータを共有し、生産している機種の改善や次世代機の開発に生かせる。

供給戦略支える


 日立建機がM&A(合併・買収)で傘下に収めた米H―Eパーツも、部品の供給戦略を支える。鉱山機械の保守事業を手がけていて、チリでダンプトラック向けに部品を再生する工場の機能を強化した。鉱山機械市場の活況が当面続く見込みで、部品の再利用ニーズを取り込む。

 菅原は「顧客は修理と新たな部品への交換のどちらかを選んでいたのが、再生により選択肢が増えた」と強調する。コマツも再生事業の拡大を狙っており、部品の再利用をめぐる競争が熱を帯びそうだ。(敬称略)

連載・企業研究/日立建機


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日刊工業新聞2019年4月22日

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