ウエハーだけじゃない!半導体製造でシリコン素材がモテる理由

フェローテックが成長を見込む「シリコンパーツ」とは?

 半導体でシリコンといえば、まずウエハーを思い浮かべるだろう。実は、製造プロセスでもシリコン素材がにわかに注目されている。背景に、業界の取り巻く事業環境と新しい技術の潮流がある。

 半導体の下地となるのがシリコン製のシリコンウエハーだ。半導体製造の前工程はウエハー上に微細な加工など物理的・科学的なプロセスを経て大規模集積回路(LSI)チップを作る工程となる。厳重に管理されたクリーンルームでの製造プロセスとなるが、さまざまな工程の加工中にコンタミ(コンタミネーション=異物混入)が発生してしまう。コンタミは半導体製造の歩留まりを左右する問題だ。

 半導体製造装置の部材は「石英」、「SiCパーツ(CVD-SiC)」、「シリコンパーツ」などがある。シリコンパーツはウエハーと同素材、同熱膨張率のため、加工中にコンタミを少なくすることができ、半導体の歩留まりも改善する。

 そのシリコンパーツを提供するフェローテックホールディングス。同社が提供する半導体製造装置向けに製造している治具・消耗品は「石英製品」、「セラミックス」、「SiCパーツ(CVD-SiC)」、そしてシリコンパーツと4種類そろえている。価格、用途が違う4種類のマテリアル製品をとりそろえているのは国内メーカーでは珍しい。特にシリコンパーツは最も成長が期待できる、という見立てだ。

 なぜか。シリコンパーツの単価はSiCパーツより約30%高いとされている。シリコンパーツの方が短納期で納入できるなど突発的な発注にも対応でき、設備稼働として見た場合のランニングコストのメリットはある。素材はファイブナイン(99.999%)と呼ばれる高純度の多結晶シリコン(ポリシリコン)を自社で生成している。

 一方、半導体の多層化(2次元〈2D〉構造から3D構造)に伴い「エッチング」工程も、今まで以上に負荷がかかるプロセスとなる。そのため、製造装置用の消耗品も交換頻度が多くなる。コンタミが少なく、短納期で納入ができるシリコン製のエッチャーパーツの需要が高まりつつある。

 すでにディスクリート系の多くの工場で採用されているほか、最近はSoCやメモリー製造からも引き合いがあるという。1000度以上で熱処理をするプロセスもあり、高温時の工程でも「結晶欠陥が少なくなる」などメリットは多い。

 マテリアル製品の売り上げは全体的に伸びているが、今後はシリコンパーツの増産に力を入れる。同社が製造するシリコンパーツは、半導体製造における前工程の「酸化・拡散」工程での熱処理をする時にウエハーを固定するウエハーストッカーと「エッチング」工程でのエッチャーパーツ、シャワーヘッドとして使用されている。2018年度の連結売上高は約18億円。3年後に50億円を目指す。

 同社は中長期的な戦略で太陽電池関連事業を今期中に撤退する予定。太陽電池用・半導体インゴット(シリコンの塊)とも中国内陸部の銀川市で生産されている。太陽電池用のインゴット引き上げ装置は半導体用へ流用できる。

 シリコンパーツは中国沿岸部の杭州市で製造していて、設備・人員ともに半導体インゴット生産・シリコンパーツ製造に集中させる。増産に伴い、シリコンパーツ用の素材売りも今後展開する予定だ。

 「半導体の設備投資は2019年の4-6月が底で、10月以降は徐々に戻ってくるのではないか」とフェローテックでは見ている。半導体製造設備業界にとって2019年は米中貿易摩擦もあり、見通しづらい。今後、半導体の世界的な需要増は予想されているが、半導体製造装置への設備投資が鈍化した場合でも、「シリコンパーツ」は消耗品として、安定した販売が見込めるだろう。

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