筑波大が独自の「国際テニュアトラック制度」で高業績を挙げた意義

無期雇用後も人脈生かす

 筑波大学は無期雇用に向けた若手の有期雇用で、海外派遣を組み合わせた独自の「国際テニュアトラック制度」で高い研究業績を実現した。被引用数が各分野上位10%以内に入る「トップ10%論文」の割合が、派遣第1弾の助教25人では35%で、研究型大学での10%より高かった。うち20人は筑波大の無期雇用に転換しており、築いた人脈を生かした国際共同研究で、研究力強化のリードが今後、期待される。2019年度から第2弾に着手する。

 13年度開始の同制度ではまず、本部などで対象分野を決めて公募する。採用された助教は筑波大と海外一流の研究室主宰者(PI)の間を行き来し、試用5年間のうち2年以上を海外で研究する。

 若手は競争的環境下で鍛えられ、優れた国際共著論文を出すことで評価され、筑波大の無期雇用転換につながる。引き続き、築いた国際的な人脈や次の国際共同研究などを通じて、同大の研究力強化で活躍していく仕組みだ。

 第1弾は計算機や医学・生命、理工など13―17年度雇用の25人だ。論文データベースから14―17年(暦年)発表の全論文を分析したところ、トップ1%論文は6%だった。学術研究懇談会(RU11)の11の研究型大学での全論文では1%で、同制度の効果を確認できた。18年度は他大学への転出も見られたが、多くが筑波大の無期雇用の助教か准教授に就いた。若手は有期雇用だと一般に、次のポストの不安から海外へ行きにくい。同制度は無期転換を前提としたテニュアトラック型のため、海外研究室での活動に専念できる。

 派遣費用には文部科学省の「研究大学強化促進事業」を活用した。

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国立大が生き残っていくための「卓越」という選択

日刊工業新聞2019年3月7日

山本 佳世子

山本 佳世子
03月07日
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成功例と見なされて参考にしたに違いない。今回の制度に似た2019年度新事業が文部科学省から出されている。「国際競争力強化研究員事業」がそれだ。筑波大としても別の文科省事業の予算を使って、成果を引き出したのだから、それが次の新事業につながり、日本の研究力向上につながるのであれば、政府事業としてあるべき姿といえそうだ。実は筑波大のトップ論文比較は、「同制度利用のピカピカの助教」は「同制度を利用していない同じ大学の普通の助教」と比べるのが筋で、「RU11の全教員」との比較はどうか?とも思った。が、学術調査研究で査読論文とする内容であれば、「適切な比較対象ではない」と指摘されるところかもしれないが(たぶん)、「けっこう優れた論文創出に跳ね返っているようだ」という評価の裏づけとしては、ありなのかなと振り返った。

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