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中小の認知度低い…「働き方改革関連法」施行で変わること

4月に施行
中小の認知度低い…「働き方改革関連法」施行で変わること

中小への周知が求められている(イメージ)

 働き方改革関連法施行まで1カ月あまりに迫った。長時間労働の是正や過労死防止、生産性向上などにつなげるのが狙い。大企業では先行実施する例も多いが、新制度適用の一部が1年先送りされる中小企業では認知度が低い。慢性的な人手不足に悩む中小にとっては負担が重く、周知徹底が求められる。

慣行曲がり角


 残業時間の罰則付き上限規制や、高収入の一部専門職を労働時間規制から除外する高度プロフェッショナル(高プロ)制度はこの4月に施行される。残業規制については中小企業への導入は2020年4月からだが、これとは別に今年4月からは大企業と同様に従業員に有給休暇を取得させる義務などが発生する。

 正社員と非正規社員の不合理な格差を禁じる「同一労働同一賃金」も20年4月から導入され、中小も21年4月から適用される。正社員による長時間労働や非正規労働者を繁忙期の調整弁としてきた日本の労働慣行は大きな曲がり角を迎える。

 ただ、労働組合がない企業が大部分の中小には労働規制強化の内容が浸透していない。日本商工会議所などによる中小企業を対象とした昨秋の調査によると、「知らない」と回答した企業の割合は「残業の上限規制」で39・3%、「同一労働同一賃金」で47・8%に上った。

 また、この4月から中小にも適用される「年次有期休暇の取得義務化」についても「知らない」が18・9%、「高プロ」は64・9%にも達した。一方、働き方改革法に対応する上で「人手不足」を課題とする回答が約5割を占めた。

セミナー開催


 日商は「中小企業は人手が足りず制度化が難しい」としており、制度化までに中小向けセミナーなどを開催して後押しする考え。

 連合もこうした状況に危機感を抱き、神津里季生会長も「法の実効性確保のためには集団的労使合意が必要だ」と述べている。

 19年春闘が本格化する中、19日に連合兵庫と兵庫県経営者協会は賃上げに加え働き方改革について意見交換をし、長時間労働の是正など働き方改革を労使一体で進めることを確認した。

地銀も名乗り


 また秋田労働局は秋田銀行と北都銀行の秋田2地銀と働き方改革に関する包括連携協定を結んだ。労働局は両行が開くセミナーなどに職員を派遣。両行は取引先の中小企業に対して働き改革への対応の相談に乗るなど、県内企業の生産性向上や人材確保に乗り出す。労働局から中小への周知に加え、金融機関の支援も求められる。
日刊工業新聞2019年2月22日

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