早大が電力・エネの“プロ人材”輩出へ、新教育拠点の仕組み

国内12国公立大学や全10電力会社と連携

 早稲田大学は国内12国公立大学、これらとつながる全10電力会社などの連携で、電力・エネルギー分野における日本の“博士教育拠点”を構築する。社会人を含む各大学の博士課程学生は、所属大学に加え早大の学籍番号を持ち、同分野をリードする早大の教育・研究・産学連携の“資源”をフル活用できる。専門の狭さや定員割れなど各大学が抱える博士教育の課題を、全国ネットワークで解決し、高度産業人材を輩出する大学院改革として注目される。

 これは文部科学省の卓越大学院プログラムの一つ。電力・エネルギー分野の材料、システム、イノベーションで5年間の博士一貫教育を行う。東京ガス、大阪ガス、JXTGエネルギー、地域の大学で密接な電力会社などが参画。同分野の企業の大所を押さえるのが特徴だ。

 全国の同プログラム生は早大にも学籍を持つ。これにより遠隔地からも、早大の先進eラーニングでイノベーションや人工知能(AI)など広く学べる。企業からの社会人入学では、早大が強みとする人文・社会科学系で税制、環境法、ビジネス創出、ジャーナリズムなどのニーズも高い。複数大学の学籍番号を持つ仕組みは全国初とみられる。

 また早大のエネルギー取引の国際標準化設備や、50社超が参加する産学共同事業体(コンソーシアム)、そこで開かれるセミナーなども活用できる。地方1大学では充実させにくい博士教育に対し、早大は自らの資源を提供することで、高度人材育成に産学官が集まる日本の拠点を整備していく。

      


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日刊工業新聞2019年2月20日

山本 佳世子

山本 佳世子
02月21日
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中堅大学の博士課程というのは、例え在学生が少なくても「研究人材育成の道を確保しておく」点で必要なのだろう。教員にとっても、「博士課程がないなんて冗談じゃない」という自負なのだと聞く。とはいえ、教育が中心の大学を含め、博士課程の設置は過剰だと以前から感じていた。それだけに早大の取り組みは、研究型大学自らの博士教育改革に、博士教育が手薄な地方・中小規模大学を巻き込む点でおもしろい。2年目以降の卓越大学院でも、他分野で同様の取り組みが出てくることを希望したい。

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