日本から世界へ!“メガベンチャー”への登竜門

経済産業大臣賞はパワー半導体で産業革新に挑む京大発ベンチャー

 中小企業基盤整備機構は5日、虎ノ門ヒルズ(東京都港区)で「ジャパン・ベンチャー・アワード2019」の表彰式を開き、経済産業大臣賞など受賞者10人を発表した。経済産業大臣賞には、超低損失で低コストのパワー半導体の開発を事業化したFLOSFIA(京都市西京区)の人羅俊実代表取締役社長(=写真)を選出。事業展開における戦略性の高さと、今後の成長性を高く評価した。

技術革新や社会課題の解決に独自のアプローチ


 FLOSFIAは、京都大発のベンチャー企業。同社が開発したパワー半導体は、電気自動車やロボットをはじめ幅広い分野に適用可能で、機器の省電力化や小型化などの技術革新に貢献する材料として期待されている。人羅社長は、「実験レシピの作成やデータの収集など地道なことをコツコツと積み重ねてきた。支援をしてくれた人や事業の成長に関わった人に胸を張って受賞を報告したい」と喜びを語った。

 中小企業庁長官賞には、KMユナイテッド(京都市左京区)の竹延幸雄創業者・取締役社長と、Global Mobility Service(東京都港区)の中島徳至代表取締役社長執行役員/CEOが選ばれた。竹延社長は、人材育成を経営戦略に据えた塗装会社として伝統や慣習にとらわれない雇用や人材教育を推進。熟練工の技能を動画で学べるアプリケーション(応用ソフト)「技ログ」の開発など、果敢な挑戦と実績が評価された。

 中島社長兼CEOは、真面目に働く意思を持つ途上国の貧困層が、車の購入で金融機関の与信審査を通過できる仕組みを構築。IoT(モノのインターネット)技術を活用したフィンテックサービスで、革新性のあるビジネスモデルを確立した点が評価された。

 また、中小機構理事長賞3名、JVA審査委員会特別賞2名、ベンチャーキャピタリスト奨励賞2名も併せて表彰した。各賞の受賞者は以下の通り。

【経済産業大臣賞】
FLOSFIA 人羅俊実代表取締役社長
【中小企業庁長官賞】
KMユナイテッド 竹延幸雄創業者・取締役社長
Global Mobility Service 中島徳至代表取締役社長執行役員/CEO 
【中小機構理事長賞】
サイフューズ(東京都文京区) 秋枝静香代表取締役
トリプル・ダブリュー・ジャパン(東京都千代田区) 中西敦士代表取締役
ライフイズテック(東京都港区) 水野雄介代表取締役CEO
【JVA審査委員会特別賞】
SDGs推進特別賞
WASSHA(東京都文京区) 秋田智司代表取締役CEO
eコマース推進特別賞
スタークス(東京都品川区) 上ノ山慎哉代表取締役
【ベンチャーキャピタリスト奨励賞】
XTechVentures 手嶋浩己共同創業者兼ジェネラルパートナー
オプトベンチャーズ 野内敦代表取締役

J-Startup選出企業の受賞が相次ぐ


          

 JVAは、志の高い起業家やそれを支援するキャピタリストを表彰する制度。過去の受賞者には、経済産業省が取り組むベンチャー企業の支援策「J-Startup」に選ばれた企業が多く名を連ねる。今回もFLOSFIAの人羅氏、ライフイズテックの水野氏、Global Mobility Serviceの中島氏、トリプル・ダブリュー・ジャパンの中西氏の4人がJ-Startup選出企業の経営者だ。日本ベンチャー学会副会長で、審査委員長を務めた早稲田大学大学院経営管理研究科の長谷川博和教授は、「応募者のレベルが年々高くなっている。特に、今回の受賞者はすでに世界に通用するレベルだ。世界で活躍するメガベンチャーを目指して、さらに奮起してほしい」と講評した。

 JVAに応募できるのは、創業後おおむね15年以内の中小企業の経営者や代表者。主な評価対象は、事業の革新性や成長性、経営者の資質、社会性など。18回目の今回は184件の応募があった。今回の応募者の傾向について、中小機構の高田担史理事長は「新しい価値の創造や人工知能(AI)を活用した社会課題の解決、持続可能な開発目標(SDGs)などを意識している人が多く見られた」と語る。

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JAPAN VENTURE AWARDS 2019/受賞者一覧

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▽JVA2018/障害(バリア)を価値(バリュー)に変える新たなビジネス、JVA最優秀賞に
▽JVA2017/難病・希少疾病向け医薬品メーカー、JVA最優秀賞に輝く
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