東京医科歯科大が非医療系企業との連携を狙う“八方良し”

新組織「オープンイノベーション機構」を活用

 東京医科歯科大学は大型産学連携を企画・運営する同大「オープンイノベーション機構」で、非医療系企業との第1弾案件を公表した。たんぱく質構造解析の新手法、クライオ電子顕微鏡で日本電子などと連携する。合わせて同分野で著名なシニア研究者を、新制度で同大に招く。医療系の中小規模大学が、潜在力の高いテーマの大型連携を進める新モデルと注目される。

 クライオ電顕は2017年のノーベル化学賞を受賞した話題のテーマ。X線構造解析では難しいたんぱく質が扱えるため、研究が急増している。今回は第一人者の藤吉好則名古屋大学客員教授、藤吉氏と長年、クライオ電顕開発に取り組んできた日本電子、両者が立ち上げたベンチャーからなるプラットフォームを、東京医科歯科大同機構で立ち上げる。このため同大は、外部資金を獲得できる高名なシニア研究者が所属する「高等研究院」を整備。藤吉氏が4月に「高等院特別栄誉教授」として着任する。

 18年12月1日発足の同機構は、企画提案や、知的財産や法務のバックアップを、企業経験者などの専門家チームで取り組む。これまでのソニーやヤマハとの実績を生かし、商社など非医療系との連携を広げるとしている。

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日刊工業新聞2019年1月31日

山本 佳世子

山本 佳世子
02月01日
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実力あるシニア研究者は近年、研究型の国立大学で「特別栄誉教授」といった肩書きで活躍している。ノーベル賞受賞の京大の本庶先生しかり、東工大の大隅先生しかり。該当者は定年の年齢を超えてなお、高額な競争的資金を獲得できる存在で、大学の運営費交付金とは別の財布で優れた研究を推進してもらえるのが魅力だ。今回は「東京医科歯科大の名を、クライオ電子顕微鏡という医療と異なる新分野で、さらに高めてほしい」という狙いで、対象の藤吉先生を、産学連携相手の日本電子や彼らのベンチャーをセットにして受け入れる。オープンイノベーション機構という新組織を活用した、”八方良し”の企画に、いたく関心した。

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