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三菱地所社長「企業のオフィス戦略はコストから投資へと変わった」

吉田淳一氏インタビュー
三菱地所社長「企業のオフィス戦略はコストから投資へと変わった」

三菱地所公式チャンネルより         

―2019年度までの3カ年中期経営計画で、営業利益目標を上方修正しました。

「人手不足の将来不安から、オフィスを戦略的に作る企業が増えてきた。コスト意識から投資へと位置付けが変わった感触で、この流れは続きそうだ。マンションも人気の高い都市部はもちろん、郊外でも店舗や介護施設を併設することで“住まう価値”を訴求していく。米中貿易摩擦や金利の動向といった懸念材料はあるものの、19年全体を見渡せば追い風という印象だ」

―丸の内エリアでは再開発が続きます。どのような青写真を描いていますか。

「常に新たな気付きや情報、刺激であふれる街にしたい。世界から人が集う『オープンイノベーションフィールド』が理想だ。大手町ビルヂングの大規模改修もその一環で、内外装を刷新しあらゆる企業が交流できる場にする。高層ビルへの建て替えだけでなく、既存ビルも活用し街並みに個性を持たせたい。丸の内が持つポテンシャルを表現しながら、ここにしかないものを増やすつもりだ」

―3月にコンセッション(公共施設等運営権)方式による下地島空港が開業します。

「旅客ターミナルの屋根は直交集成板(CLT)を使い、リゾート気分を味わえるように仕上げた。国内の定期便だけでなく、海外の富裕層がプライベートジェットで訪れるような空港に育てたい。訓練用飛行場だったため滑走路が長く、大型機が離着陸できる優位性も大きい。税関・入管・検疫(CIQ)機能を整え、チャーター便なども誘致できるよう働きかけていく」

―25年の大阪開催が決まった国際博覧会を受け、周辺の不動産開発も進みそうです。

「関西は大阪や京都だけでなく、神戸に奈良と特色ある地域が集まっているのが魅力。より多くの訪日外国人旅行者を呼び込む好機と捉えている。カジノを含む統合型リゾート(IR)ができれば、ホテル開発などお手伝いできる場も広がる。閉幕後も例えば、日進月歩で進化する技術の体験施設などに活用できれば良いと思う。あらゆる可能性があると楽しみにしている」
                    

【記者の目/丸の内、国際都市に“演出”】
“お膝元”である丸の内では、18年11月に「丸の内二重橋ビルディング」を開業。隣接する有楽町の再開発に弾みを付けた。さらに銀座へとつながる立地を踏まえ、東京駅周辺とは異なる“演出”を模索。連続したにぎわいと、国際競争力を備えた街の形成に挑む。志向するのは、ロンドンやニューヨークと並び立つ都市だ。(堀田創平)
日刊工業新聞2019年1月30日

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