トヨタや日立が参画、筑波大の「完全ダブルメンター制」教育が動き出す

卓越大学院の博士学生が、産学含む共同研究を企画

 筑波大学は、専門分野の異なる教員2人が学生を指導する“完全ダブルメンター制”の博士5年一貫教育を4月に始める。教員の1人は生命医科学、もう1人は理・工・情報学の教員が指導する。100人程度の候補教員をそろえ、研究室間の共同研究を企画しリードする博士課程の学生とマッチングする。企業は若手を博士学生に、シニアを指導教員に派遣した上で、共同研究費を提供する。

 文部科学省が2018年度に始めた卓越大学院プログラムの一つ。筑波大は医療や生活の質を高める「ヒューマニクス」領域で、異分野の用語を理解し融合を先導する博士人材養成を掲げる。国際統合睡眠医科学研究機構やサイバニクス研究センター、計算科学研究センターなど、研究力に定評がある同大拠点の教員らが関わる。

 学生は大学院入学前に例えば工学のメンター教員を決め、医工連携の研究計画書を英語で提出。選抜後に医学のメンター教員を候補リストから絞り込み、共同研究をベースとする博士研究を始める。

 優れた学生が、ざん新な研究仮説で2人のメンターを引き合わせる形が理想だ。1学年15人程度で製薬などメーカーの技術者、臨床医など社会人も多い見込み。日立製作所やトヨタ自動車が参画する。異分野の基礎教育のeラーニングを今後、整備。同大の内部生が学部時代に学ぶなどで年数短縮につなげる。

 日本の大学院教育は1人の指導教員の元での徒弟制度型が多い。副指導教員がいても関与は薄い。今回は企業人がメンターに入る場合を含め、共同研究を必須とし研究と教育の相乗効果を狙う。

                    


<関連記事>
地方の国立大が生き残っていく「卓越」という選択

日刊工業新聞2019年1月24日

山本 佳世子

山本 佳世子
01月24日
この記事のファシリテーター

筑波大は研究型大学の集まり、RU11(アールユーイレブン)の一角を占め、旧帝大の次のグループに位置づけられる。しかし睡眠医科学(リーダーは近年、注目が急上昇の柳沢先生)やサイバニクス(サイバーダインで有名な山海先生)といった”とがった”研究での評価は高い。各分野の垣根の低さ(筑波大の設立時からのユニークな構造)は、旧帝大にはないものだ。研究と教育を本格的に連動させる卓越大学院で、それらの特質を生かそうとしている。

この記事にコメントする

古川 英光
古川 英光
01月24日
企業からの共同研究を組み合わせて、企業からのメンターを派遣してもらって、共同研究費も入れてもらって、学生の指導や学費をサポートするような考え方で、いろいろwin-winになっていると思います。工学系では取り入れやすい方法だと思います。
  

ファシリテーター紹介

記者・ファシリテーターへのメッセージ

この記事に関するご意見、ご感想
情報などをお寄せください。