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GEが重工業向けビッグデータ解析のクラウドサービス、来年から社外に提供

「インダストリアル・インターネット」普及拡大へ
GEが重工業向けビッグデータ解析のクラウドサービス、来年から社外に提供

Predixクラウドで風力発電機のデータをリアルタイム解析しているイメージ(GEのユーチューブ映像から)

 重工業分野のビックデータ解析が行えるクラウドサービスを世界で初めて立ち上げると、米ゼネラル・エレクトリック(GE)が4日発表した。現在GE社内で試験運用を進めており、今年の第4四半期からGEグループで実施しているデータ分析を全面的にクラウドに移行、2016年には外部の顧客向けにサービス提供を始める。GEは、世界中に分散している生産システムや産業機器をインターネットでつなぎ、効率的に運用する「インダストリアル・インターネット」を提唱しているが、新しいクラウドサービスでインダストリアル・インターネットの普及とソフトウエアビジネスの拡大に乗り出す。

 このサービスは「プレディックス・クラウド(Predix Cloud)」。航空機のジェットエンジンや病院のMRI(磁気共鳴断層撮影装置)、発電用タービン、鉄道システムなど、重工業向けに特化して開発しているもので、機器や装置から発生する大量のデータをリアルタイムに解析し、設備の運用効率化や異常診断などに役立てる。

 もともとGEは、重工業関連のビッグデータ解析が行えるソフトウエア基盤のPredixを開発し、グループ内で活用しているほか、社外にも提供。日本ではソフトバンクが販売している。今後はPredixの機能をインターネット経由でユーザーが開発・稼働環境を手軽に構築できるPaaS(パース=Platform as a Service)の形で提供する。

 GEの2014年のソフトウエア売上高は40億ドル。その大半をPredixが占め、2015年は60億ドルのソフト売上高を予想している。GEはPredixクラウドを含めて年間5億ドルをソフトウエア開発に投資しており、新たに米国の東海岸と西海岸にデータセンターも建設するという。
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藤元正
藤元正 Fujimoto Tadashi
7月はじめに来日したジェフ・イメルトCEOの講演会には残念ながら出られなかったが、6月30日に3Dプリンターのシンポジウムで登壇したGEアビエーションのショーン・キム氏の話には、来場者の多くが衝撃を受けた。「イメルトCEOは、今まで通りのハードウエア、ソフトウエアを作っていては、GEがあと10年も持たないと言っている。ハードウエアの会社であっても、ビッグデータやオープンソース、インダストリアル・インターネットを活用するソフトウエアの会社になり、製造業を変革していかなければ生き残れない」。大半の日本企業はモノづくりに強いと自認しているかもしれないが、インターネットやIoTの活用でGEはさらにその先を行く。もたもたしている暇はない。

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