北大が研究開発基盤に資金投入、“ロバスト農林水産工学”とは

他機関と連携を推進する手法に注目

 北海道大学は農林水産業と生産工学、災害に対する頑強性(ロバスト性)の技術を融合した「ロバスト農林水産工学」の研究開発プラットフォームを本格稼働させた。ロボットや加工など要素技術の研究公募で、北海道内の大学などの研究者も応募可とし、年3000万円で支援する56件を採択した。研究型大学の北大の予算で、フィールド技術など地域の実践研究に強い他機関と連携を進める手法が注目される。

 北大はこれまで同分野の産学官連携の研究会を、企業50社超の規模で手がけてきた。これを拡大したプラットフォームを4月に設立。ロボットやITなどを活用した1次産業のフィールド対応、消費者嗜好(しこう)への対応など、要素技術の柱を設定した。

 これに沿った研究支援を北大研究者の参加を条件に、他大学の研究代表者の提案も可として始めた。採択はフィールド技術を中心に室蘭工業大学、北見工業大学、帯広畜産大学の提案が全体の約4分の1だった。バイオマス資源化など基盤研究は北大が中心だ。加工や鮮度保持で、北海道立総合研究機構や産業技術総合研究所の案件も入った。

 北大は基礎・基盤研究に強いが、北海道の農場や原野などフィールドに合わせた事業化の研究開発は事象が複雑で、他大学・機関がリードする面がある。連携は道全体のプラスにもなると判断し、学内資金投入に動いた。

 また、プラットフォームでは菓子用カボチャや魚の陸上養殖など、具体的な事業化プロジェクトで、各要素技術を切り口とするシンポジウム開催を始めた。今後は粒子状物質(PM2・5)による豪雨など災害に対するロバスト性に注目した研究も強化する方針だ。

日刊工業新聞2018年11月29日

山本 佳世子

山本 佳世子
12月01日
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北大以外の採択案件のうち、室蘭工大が最も多く、また各要素技術で参加している点が目を引く。道内計7つの国立大学のうち、道内3大学統合に意欲的な北見工大と異なって、室蘭工大は距離的にも近い北大と、少なくとも農林水産工学では親和性が高いことを意味するだろう。大学の連携や統合は「これが正解、皆これにならえ」と進めるものではない。今回の仕組みも連携の新たな一手法として、今後の発展を楽しみにしている。

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