ベテランの大量退職で現場力低下も、化学業界の救いの手はVR

住友化学がデジタル変革を加速

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従業員の安全体感教育にVR活用し、製造基盤を固める(千葉工場)
 住友化学は千葉工場(千葉県市原市)のデジタル変革を加速する。2019年にも従業員の安全体感教育に仮想現実(VR)を活用するほか、画像データなどを使った設備の予兆保全を本格展開する。石油化学のマザー工場であり、現在主力のシンガポールとサウジアラビアに対して支援する役割も大きい。人手不足が深刻化する中で、ITを最大限利用して国内での製造基盤を固める。

 住友化学は愛媛工場(愛媛県新居浜市)で従業員の安全体感教育にVRを先行導入しており、近く千葉工場へ機器を運んで活用する。千葉工場は生産現場で起こる事故や災害を疑似体験できる設備を持っておらず、従来は同じ京葉臨海コンビナートに進出する他社の施設を使わせてもらうケースが多かった。

 団塊の世代を中心としたベテラン作業員の大量退職により、化学業界全体として現場力の低下が危惧されている。工場の保安防災に向けて若手向けの安全教育の充実は喫緊の課題となる。

 また、千葉工場では設備の保全担当者にタブレット端末を携帯させて、作業の効率化を進めている。定期修理時などに現場で設備の図面や仕様を検索できるほか、補修後の写真撮影やリポート作成まで済ませる。蓄積する画像データなどを生かして、設備が故障する前に手を打つ予兆保全に取り組む。すでに一部の回転機で試しており、今後他の設備へ広く展開する方針だ。

 住友化学は全社でデジタル変革に取り組んでいる。19―21年度の次期中期経営計画でIT投資を前3カ年比約50%増の300億円に積み増す。独SAPの次世代基幹業務システム「SAP S/4HANA」導入とデジタル変革、サイバーセキュリティー対策が重点分野となる。

日刊工業新聞2018年11月26日

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