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米国を熟知する早大総長「まねをしては日本は危うい」

中長期目標を一部見直し
米国を熟知する早大総長「まねをしては日本は危うい」

早大の大隈講堂

 早稲田大学は2032年までの中長期計画「Waseda Vision 150」の一部の数値目標を見直す。大学院生を1万5000人に増やす目標は、文系大学院生を1万人に増やす必要があるが「プロフェッショナルスクールで学生を集められる米国のまねをしては、日本は危うい」(田中愛治総長)と下方修正する。

 一方、田中総長は「研究大学として40年後に世界トップクラスの大学になる覚悟」を表明。その手法として「全教職員が、自分より優秀な人材を採用することを考える」とした。

 田中総長は5日、第17代総長に就任した。すべての大学院教育を米国で約10年間受け、50カ国以上の政治学会が加盟する「世界政治学会」会長を務めるなど、歴代総長と異なる経歴を持つ。「早稲田は日本のトップクラスだが、世界トップクラスに向けて本気になったことがない」(同)。本気で取り組むため、母校のオハイオ州立大学の政治学が全米・世界ランキングともに4位まで伸長したコツに注目。人材獲得に注力する価値観の共有を掲げた。「米国を熟知している」点を武器に新たな早大のグランドデザインを構築する。
日刊工業新聞2018年11月8日
山本佳世子
山本佳世子 Yamamoto Kayoko 編集局科学技術部 論説委員兼編集委員
就任直後の会見では35分を一人でぐいぐいと話し続けた。半年前の決定直後のインタビューは控えめなタイプと感じられたので、見違えてしまった。当時はまだ緊張していたのか、この就任までにプランを練って自信を持ったのか…。自ら「米国を熟知している」と口にし、そのうえで参考にすべきところと、真似てはいけないところを明確にする姿勢にも引きつけられた。おかげで、次の取材で聞きたいいくつもの項目をメモすることとなった。それにしても「田中」は、着物姿の法政大総長といい、アメフト部問題で注目を集めた日大理事長といい、大学トップの旬の名字になっているようだ。

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