現場の声を聞かなければ医療の働き方改革は始まらない

オカムラはなぜヘルスケア部門を立ち上げたのか

 オカムラは病院や介護施設など医療空間を専門に手がけるヘルスケア事業に力を入れている。2015年4月にヘルスケア事業本部を立ち上げ、営業やマーケティングなどの機能を集約。ヘルスケア市場を次代の重要市場と捉え、オフィス空間同様、医療現場における働き方改革についても提案を強化する。今後5年で、2倍の売り上げ目標を掲げる。

課題を把握


 ヘルスケア事業本部では、病院やクリニック、高齢者・介護施設、検診センターなどを対象に、患者が過ごしやすいだけでなく、医療従事者にとっても働きやすい空間を提案している。

 従来はオフィス家具担当が医療機関などの営業も掛け持ち、マーケティング、デザイン担当者も各所に分かれていた。ヘルスケア事業本部はこれらを集約して設立。ヘルスケア事業本部ヘルスケア製品部の深津善之部長は「医療従事者と密接に関わりながら、課題を把握して使いやすい商品をつくろうとしている」と強調する。

使いやすさ考慮


 病院待合室向けのソファは一見布地のようだが、よく見ると、はっ水加工のビニールクロスとなっており、汚れを拭き取りやすい。また狭い病院空間を考慮して、ソファ自体がずれにくく、壁に沿って水平に設置できる仕様とするなど工夫した。病院スタッフの意見を取り入れて開発することによって、医療従事者が使いやすい設計になっている。

 また立ち仕事が多い看護師の働き方に合わせて開発した医療用カートは、スムーズに片手でも高さを調整できる。カートにのせて使うトレーは簡単に取り外せるだけでなく、トレーの縁の折り返しをなくした。しぶきなどの汚れを拭きやすい形状にすることによって感染症対策にも考慮する。電子カルテ化によって、パソコンをカート上に設置するようになったため配線機能もある。

現場の声拾う


 オカムラでは医療関係の学会の展示会などに積極的に出展し、現場の声を拾っている。ヘルスケア事業本部の山崎正二室長は「医療現場で働く人にアプローチし、ヒアリングなどにもつなげている」と話す。
(文=高島里沙)

日刊工業新聞2018年10月4日

日刊工業新聞 記者

日刊工業新聞 記者
10月05日
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医療現場では、患者を最優先に考える傾向があるため、医師や看護師などスタッフ側の働き方改革は始まったばかりだ。18年度診療報酬改定の基本方針にも働き方改革の推進が明文化されるなど、医療従事者の負担軽減に向けた動きが出始めている。医療現場においても働きやすい環境を整えることは、人手不足の解消や医療サービスの向上にもつながりそうだ。(高島里沙)

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