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日本は防災・減災技術で世界に貢献できるか。官民連携の推進組織立ち上がる

日本防災産業会議で「ウィン−ウィンの関係を構築したい」(内閣府)
日本は防災・減災技術で世界に貢献できるか。官民連携の推進組織立ち上がる

NECの群衆行動解析技術のモニター画面イメージ。群衆の動きや密集状態を把握できる


三井住友建設、使いながら「免震化」の工法を実用化 


  三井住友建設は2000年に既存ビルを使い続けながら免震化する改修工法「ハイレトロ構法」を実用化した。81年以前の旧耐震基準で建てられたまま、強度不足の状態だった“既存不適格”のオフィスビル、商業ビル、庁舎、マンションなどが免震仕様に生まれ変わっている。

 同工法は地上部分ですべての柱を切断して免震装置を据え付け、梁の下に揺れ幅を抑える制震装置を組み込む。工事は免震・制震装置を設置する地上のワンフロアだけ。この部分で地震エネルギーが吸収されるため上層階の構造安全性が保たれ、揺れによる家具類の転倒被害も防げる。東京都内の都指定緊急輸送道路に面したマンションでは駐車場となっている1階部分に施工。柱を切断して積層ゴム、建物外周部にボールネジを回転慣性機構に利用した減衰(制震)装置を設置した。駐車台数も減らさず、建物の耐震性を高めた。
 
 東芝 豪雨エリア見逃さない】
 近年、日本各地で局地的豪雨や竜巻が頻発しているが、積乱雲や竜巻は急速に発達し移動するため、兆候を察知することが難しかった。こうした中、東芝、情報通信研究機構大阪大学は局地的豪雨や竜巻の3次元降水分布を10―30秒で観測できる「フェーズドアレイ気象レーダー」の開発に成功した。すでに国内外から引き合いがあり2台の販売実績があるという。

 同レーダーは広いエリアにビームを送信し複数方向から同時に受信して観測でき、パラボラ型レーダーに比べて観測時間を最大30分の1に短縮できる。積乱雲の発達過程を動画のように把握できるため、雨が降る時期や雨量を素早く推定できる。観測範囲は60キロメートル。仰角範囲は従来の約15度から約100度に広げており、強い雨域を見逃さずに観測できる。
 
 東レ 震災時断熱マットに】
  東レのポリオレフィン発泡体「トーレペフ=写真」は、軽量でクッション性や耐水性などに優れ、これまで産業資材や生活用品など幅広く使用されてきた。気泡が独立しているため、断熱性能があり、電子線照射による架橋で耐熱性を向上した。こうした点を生かし、東日本大震災の際には体育館などの避難所で断熱マットとして利用された。「同じ使われ方は震災時以外にはない」(東レ)という。震災時には無償で提供し、同社の滋賀事業場(大津市)からトラックで各地の避難所へ送られた。

 一方、プレハブの屋根断熱用途として、当時は倍以上の販売量となるなど、機能性に着目した動きも見られたという。1メートル幅のロール品で供給できる。加工性にも優れ、即座に使えるなど、災害対策においても機能性を発揮している。
2015年03月11日深層断面/07月24 日2面
山口豪志
山口豪志 Yamaguchi Goushi Protostar Hong Kong 董事長
こういう取り組みから産業化していただきたい!震災大国ならではの技術と知恵と経験を海外の国々に是非とも活かして欲しい! 震災ベンチャーというカテゴリを創って支援するなど具体的な動きがあることを期待したい!

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