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動画配信に負けるな!スカパーの新たな一手『LIFE』とは?

取締役執行役員専務・小牧次郎氏インタビュー
動画配信に負けるな!スカパーの新たな一手『LIFE』とは?

スカパーJSAT公式フェイスブックページより

 米アマゾンやネットフリックスなど有料動画配信事業者の台頭で苦戦が続くスカパーJSATが新たな一手を打ち出した。7月に「LIFE事業部」を新設。顧客に放送コンテンツ以外の多様なサービスを提供する狙いだ。主力である有料多チャンネル放送の契約者数が頭打ちのなか、新事業をどう軌道に乗せるのか。小牧次郎取締役執行役員専務に聞いた。

 ―LIFE事業をどう展開しますか。
 「放送と通信を融合した『スカパー!ハイブリッド』を核に進める。リモコン一つで、放送中の番組やインターネット上で配信する過去の番組を自由に行き来できる仕組みだ。テレビがネットにつながっているので、離れて暮らす家族が会話できるテレビ電話として提供したり、個人に適した商品を提案したり、さまざまなサービスを展開できる」

 ―その一環で、電子書籍サービス「スカパー!マガジン」などを始めました。
 「ファッション雑誌や週刊誌のほか、釣りや囲碁・将棋など、我々の放映する番組に関連した書籍を多数そろえた。ただ、まだ試行段階。今後はサッカー番組を視聴した方に対してサッカー関連の雑誌を提供するなど、個人の視聴データに基づいたサービスを提供したい」

 ―約300万件の顧客データの活用が重要となります。
 「視聴データは以前から番組製作に生かしている。今後は同意を得たお客さまを中心に、視聴データをもとに放送以外の多様なサービスを提供する。個人情報の扱いに気を付けながら進める必要があるが、規制の中で事業を展開するのは、放送事業者が得意とすることだ。ある意味、追い風とも言える」

 ―どのような分野で展開しますか。
 「ケア関連では多様なサービスを提供できそうだ。心や体に障がいのある方々をサポートするサービスなど幅広く検討し、複数社と協議を進めている」

スカパーJSAT取締役執行役員専務・小牧次郎氏
(2018年9月5日)
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
働き方改革のほか、人工知能(AI)やIoT(モノのインターネット)などの活用で無駄な労働時間が減り、個人の生活時間も変化する。スカパーJSATは、今後拡大する“個人の自由時間”を取り込む狙いだ。ただ、多様なサービスを展開するにはあらゆる事業者との連携が不可欠。小牧取締役は「当社は商社やテレビ局が母体で、日本中に取引先がある」と自信を見せる。自社の多様性も生かした新サービスで個人のLIFEをどう彩るのか、注目したい。(大城蕗子)

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