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ウミネコの行動を追跡する装着型機器、山形大学が開発

 山形大学大学院理工学研究科の多田隈理一郎准教授らは、ウミネコの行動を追跡する装着型機器を開発した。全地球測位システム(GPS)でウミネコがエサをとる行動範囲を追跡し、海面に浮かんで休む移動軌跡から海流の速さを計測する。重量は29・6グラムと軽い。機械式の離脱機構を採用しウミネコへの影響を抑えた。従来品は離脱が爆破式だった。2018年度内に野鳥に取り付け実運用性を検証する。

 野鳥などにセンサーを取り付けて行動を観測するバイオロギング向けにデバイスを開発した。ウミネコの背中に取り付け、GPSで移動軌跡を計測する。営巣地からエサを取りに行く範囲やエサを探す際の飛行軌跡を追跡する。

 標高が0メートルであれば、ウミネコが海面に浮かんで休んでいると判断でき、その際の移動速度は海流の流速になる。

 計測後は遠隔操作で野鳥の体から離脱させ、デバイスを回収する。電流を流すと縮む形状記憶合金コイルを利用した。コイルが縮むとロック機構が回転して、かみ合いが外れる。

 既存の市販品は軽量化のために爆破式の機構を採用していたため、爆破音に野鳥が驚いてコロニー活動に影響があったという。

 ウミネコの体重の3―5%にデバイス重量を収めるよう軽量化した。現在は29・6グラムで、さらに10グラム軽量化して実際の野鳥に装着させる。耐久性や防水性、離脱の信頼性などを検証していく。
日刊工業新聞2018年7月5日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
従来品は離脱が爆破式!?!?

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