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超微細7ナノメートル線幅の半導体試作に成功、米IBMなど

10ナノ開発中のインテル、巻き返しなるか
超微細7ナノメートル線幅の半導体試作に成功、米IBMなど

IBMリサーチなどが7nm製造プロセスで作った試作チップ(Darryl Bautista/Feature Photo Service for IBM)


 今回の成果が、先端半導体の技術開発を引っ張ってきたインテルに対し相当なプレッシャーになることは間違いない。インテルは、次世代の10ナノメートルの技術開発に取り組んでおり、2016年にも製品が登場するとみられている。同社は今回のIBMの発表についてコメントを控えているが、2014年の開発者会議(IDF14)に公開した同社のロードマップでは「開発中」と書かれた10ナノメートルの次に、「研究段階」として7ナノメートルが記載されている。

 さらに、WSJは、EUV露光装置を開発するオランダのASMLについて、「ASMLは名前を明らかにしていないが、米国の顧客に15台のEUV露光装置を販売する予定だと4月に明らかにしており、アナリストらはこの顧客をインテルと想定している」と伝えた。半導体のさらなる微細化をめぐっての競争が熾烈になりそうだ。

 一方、米AMDの半導体製造部門を分社化して発足したグローバルファウンドリーズは、2014年10月にIBMの半導体製造事業の買収で合意、7月1日には買収を完了したと発表している。IBMは2014年から5年間で、半導体チップの研究開発に30億ドルを投資する計画でいるが、今後10年間にわたり、グローバルファウンドリーズに半導体の製造を委託する。IBMによれば、新しい7ナノメートルの製造技術は、グローバルファウンドリーズやサムスン電子などにライセンスされることになるという。
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藤元正
藤元正 Fujimoto Tadashi
7ナノメートルと言われてもまったく想像がつかないが、遺伝情報が書き込まれている2本鎖のDNA3本分ほどの幅になるとのこと。半導体回路もどんどん分子レベルに近づいていて、ムーアの法則が限界を迎えるのは自明の理かもしれない。ただ、限界が見えて来たときほど、新たなイノベーションのチャンス。今後のブレークスルーに期待したい。

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